予想外の展開だ。岸信夫前防衛相の辞職に伴う衆院山口2区の補選が11日、告示されたのだが、政界の名門・岸家と安倍家の血を引くサラブレッドが猛烈に追い上げられている。

 立候補したのは、岸氏の長男で元フジテレビ記者の岸信千世氏(31)と、民主党政権で法相を務めた元職の平岡秀夫氏(69)。自民党公認vs無所属の一騎打ちだ。セオリー通りであれば、「地盤・看板・カバン」を親父からガッチリ引き継いだ信千世氏が余裕の戦いを展開するはずが、情勢調査では平岡氏に数ポイント差まで迫られている。よほどタマが悪いのか。

「信千世氏は党山口県連が実施した公募を経て公認を得たことにはなっていますが、実態は出来レース。県連の一部ですら世襲批判がくすぶる中、ホームページで家系図を見せびらかしたり、永田町の高級ホテルで大規模な政治資金パーティーを開いたり。新人離れした振る舞いに眉をひそめる有権者は少なくない」(県連関係者)

 信千世氏は第一声で「すてきな山口県、日本国があるというのは先人が守ってきたから」と声を張り上げていたが、憲政史上最長首相のお膝元だったのに、過疎化が止まらない山口のどのあたりがステキなのか。

 一方の平岡氏は、第一声で「山口2区は日本の政治の課題が詰まっている象徴的な選挙区だ。安全保障政策、エネルギー政策、統一教会、世襲政治、地方の衰退の問題がぎっしりと詰まっている」などと訴え、軍拡反対や脱原発を主張。立憲民主党の菅直人元首相らが全面支援している。

「平岡さんは、2015年まで山口2区を地盤として政治活動をしていたことから有権者になじみがあるし、無所属で立ったことが奏功している。衆院会派の有志の会や共産党などの自主支援を受け、野党勢力の結束が強まっています」(地元メディア関係者)

 保守王国で番狂わせがあるかもしれない。

日刊ゲンダイ
23/04/12 13:50
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