「いとこ」からのアドバイス

岸田文雄総理は「検討する」という言葉を使うことが多いことから、「検討使」というあだ名がつけられている。ところが近頃は、発言に変化が表れている。

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 「岸田さんは『決断した』『指示した』とハッキリ言うことが増えてきたんです。岸田さんはウクライナ訪問や日韓首脳会談など外交でも成果を上げ、念願の少子化対策も発表できた。支持率もV字回復しており、絶好調ですよ」(全国紙政治部記者)

 岸田総理の言動が変わった裏には、余裕を取り戻し、「聞く力」を発揮できるになったということがあるようだ。

 「実は岸田さんは、宮澤洋一(税制調査会長)さんから、『(検討ではなく)決断しましたとか、指示をしました、のほうがいい』とアドバイスを受けたんですよ。

 宮澤氏は岸田さんのいとこで、7歳年上。伯父の宮澤喜一ゆずりの毒舌で、岸田さんにもズバズバ本音を言っています」(同前)

開成・東大ラインで固めた「地獄耳」

 3月31日にたたき台が発表された「少子化対策」についても、岸田総理は「聞く力」を発揮している。出産費用の保険適用は、もともと菅義偉前総理が主張してきた案だった。岸田総理は、それを自分の政策として掲げることにしたのだが……。

 「岸田さんは、二階(俊博・元幹事長)さんが『あれ、これは菅さんが言ったのではないか? 』と発言したことを、人づてに聞きつけたんです。

 そこで礼儀を欠いていたことに気づき、3月30日に慌てて菅さんの元を訪れた。岸田さんは菅さんに『少子化対策は大変良いアイデアです。ぜひ受け継がせていただきます』と頭を下げたようです」(自民党中堅議員)

 トラブルに発展する前に、党内の声をキャッチして対処する。岸田氏は、開成・東大ラインで固めた「地獄耳」を活かしている。

 官邸内の実務は、前出・宮澤氏(筑府→東大)に加え、元経済産業事務次官の嶋田隆秘書官(開成→東大)、財務省出身の宇波弘貴秘書官(都立西→東大)、木原誠二補佐官(武蔵→東大)が仕切っている。

そして「増税」へ

さらに官邸外の調整事項は、元財務事務次官の丹呉泰健氏(開成→東大)と大蔵・財務事務次官の武藤敏郎氏(開成→東大)に意見を求めるという。

 この布陣のおかげで、スムーズに党内を回せるようになっているのだ。

 宏池会に所属する議員は、最近の岸田総理をこう評する。

 「1年前と比べればだいぶ目が座って、しっかりした顔になっている。最近は『国民が嫌がることでも、やらなければならないんだ』と何度も繰り返し、増税をほのめかしていました。一種の自己陶酔状態に入っているようです」

 この議員によれば、総裁選時に話題になった“岸田ノート”も「一時は日記か? と心配していたが、今でも一応は書いている」という。

 長年書き留めてきたノートを読み返し、党内だけでなく、苦しんでいる国民の声も「聞く」ようになってほしいものだ。

現代ビジネス
4/8(土) 7:03配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d783807f5cb73f5f82766f8aaad90d417d17044