いつまで議論をまぜ返すのか。放送法の解釈を巡る総務省の行政文書について、高市経済安保相が相変わらずケチをつけまくる中、総務省から新証言が飛び出した。

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 22日の参院予算委員会理事懇談会で、総務省が行政文書の調査結果を報告。2015年2月13日付の〈高市大臣レク結果(政治的公平について)〉と題された行政文書を巡り、レクに参加した官僚の1人が「(文書の)原案を作成した認識はある」と説明しているというのだ。

 さらに「(放送法の)解釈という重要な案件を大臣に全く報告していないというのはあり得ないと思う」とも証言しているそうだ。レクの存在自体を「なかった」と言い張る高市氏に対し、一歩踏み込んだ格好である。

 一方、高市氏は「内容が正確ではなく、信頼に足る文書ではない」と全面否定する書面を提出。両者の主張は真っ向から対立しているが、どうも高市氏側の分が悪い。22日午後に開かれた参院予算委で、話を“盛った”疑いが強まったからだ。

 問題は、今月15日の参院予算委の答弁。「大臣レク」文書には、参加者として高市氏の他、大臣室側の総務官僚2人と説明しに来た総務官僚3人の名が記されている。高市氏はこの日の答弁で「大臣室側の2人は『レクは絶対にない』と言ってくれている」と断定していた。

 22日の予算委で野党議員が「2人は『絶対にない』と言ったのか」と追及すると、文書を調査中の総務省・山野謙官房総括審議官は「(2人には)『絶対にない』という表現をしたかどうかの記憶はない」と明言。対する高市氏は、2人が「絶対にない」と発言したか否かは明かさず、「私自身の認識としてレクはなかったと確信した」と論点をズラした。話を“盛った”可能性は濃厚だ。

■議論は脇道にそれるばかり

 高市氏はこれまで「そんな言い方はしない」「言うはずがない」と行政文書の正確性に文句をつけまくってきたが、事の本質は放送法をねじ曲げ、特定の番組への政治的介入を可能としたことだ。高市氏の捏造発言のせいで「言った、言わない」の水掛け論にすり替わり、本質はスッカリかすんでいる。

 さらに、高市氏が文書の正確性をおとしめようと話を“盛る”たび、「言った、言わない」が追加。議論は脇道にそれる一方だ。

「大臣の答弁は法の解釈を変え、社会のありようを変え得る重大な責任を持つ。話を“盛る”などあり得ないこと。撤回した『質問しないで』発言が象徴的ですが、国会を軽視しているとしか思えません」(政治評論家・本澤二郎氏)

 高市氏の辞書に「降参」の2文字はないのか。

日刊ゲンダイ
3/23(木) 15:20
https://news.yahoo.co.jp/articles/5855dded6df7062b1bbcfb0305d693aee533b9a5