放送法の政治的公平性について、総務省に追加の解釈を求めていたことを記したとされる文書をめぐり、礒崎陽輔元首相補佐官が自ら総務省に働きかけたことを認めた。一方、松本剛明総務相は文書について「精査中」と明確な説明を避けた。当時、総務相だった高市早苗経済安全保障担当相は、文書にある自らの発言を「捏造(ねつぞう)だ」と否定した。

 文書は、立憲民主党の小西洋之参院議員が2日に記者会見して公表した。A4で計約80枚におよび、当時の安倍晋三首相や礒崎補佐官、高市総務相、総務省幹部らの発言とされるものが記録されている。

 小西氏は3日午前の参院予算委員会で質問に立ち、質疑資料として文書を配布しようとした。だが、与党側は「文書の正確性に疑義がある」などとして認めなかった。小西氏は与党側の対応に抗議し、いったん質問を中断。だが、午後も配布は認められず「本当に残念だ」と述べて質疑を再開した。

 文書は、礒崎氏が総務省幹部に対し、政治的公平性について解釈の追加を求めていく経緯とされる内容が、礒崎氏や総務省幹部らの発言などとして記されている。特定の番組名を挙げたやりとりもある。小西氏はこの点を問題視し、岸田文雄首相に「個別番組を狙い撃ちする目的で放送法の解釈がつくられていいのか」などと見解を求めた。

 だが、首相は「そういった発言が本当にあったかどうか確認できていない」「正確性や正当性が定かではない文書について何か申し上げることはない」などと繰り返し、正面からの答弁を避けた。

 松本総務相は、文書の正確性などに疑義があるとして、内容の精査を続ける考えを示した。「文中の発言内容について、かなりの人が認識が異なっていると言っている」との見方を示した。

「全くの捏造だ」 語気強める高市氏

 一方、高市氏は真っ向から内容を否定した。

朝日新聞
2023/3/3 22:01
https://www.asahi.com/sp/articles/ASR3371NBR33UTFK01C.html