2012年12月の衆院選で勝利し、自民党が政権復帰を決めてから16日で10年の節目を迎えた。岸田首相(自民党総裁)は、安倍元首相が長期政権で築いた土台を引き継ぎつつ軌道修正も試みるが、党内統治は「安倍1強」時代より難しくなっている。野党は多弱化が進み、再興の兆しは見えない。

 2012年12月の衆院選で下野した民主党に所属した議員は、離合集散を繰り返し、野党の多党化を招いた。
野党は「混迷の10年」、離合集散で多弱化…泉代表「新たな政権を生み出したい」

 立憲民主党の泉代表は16日、東京都西東京市で記者団に、「国民は政権交代のない政治ではいけないと思っている。安定感のある野党を作って、新たな政権を生み出したい」と語った。
 ただ、下野後の民主系がたどった道は、安定感ある野党像からはほど遠かった。
 党勢の立て直しを目指して16年3月、「野党結集」を旗印に民主党の岡田克也代表(当時)は維新の党の一部との合流を決断し、刷新感を出すため党名を「民進党」に改めた。直後の同年7月の参院選では、共産党などと共闘して候補を一本化し、改選定数1の「1人区」で11勝と一定の成果を上げた。
 ところが、翌17年の衆院選では、小池百合子東京都知事が結党して圧倒的な人気を誇った希望の党に大半の民進の衆院議員が合流。小池氏から「排除」された枝野幸男氏らが結党した旧立民が野党第1党となり、野田佳彦・元首相や岡田氏は民進に残るなど、旧民主系は分裂した。
 その後、民進と希望が合流して旧国民民主党を結成し、その一部が立民に参加したものの、現在も立民と国民は分裂したままだ。共産との共闘は保守系の離反も招き、旧民主系で自民党に移った長島昭久衆院議員は「かつての民主党はリベラルから保守まで幅広かったのに、立民は左に傾き過ぎている」と指摘する。
 8月から立民の幹事長に就いた岡田氏は「もっと真ん中にウィングを広げる」として、「中道」路線への転換を図っている。ただ、安全保障政策では現実路線を志向する執行部にリベラル系が反発するなど、簡単には行かないのが現状だ。党ベテランは「民主党は10年かけて政権交代の準備をした。下野後は混迷の10年だった」と語る。

12/18(日) 10:45配信
読売新聞オンライン
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