政府は、防衛力の抜本的強化に向け、自衛隊の施設整備費の一部に、建設国債を活用する方針を固めた。2027年度までに計約1・6兆円を充当する。税制措置では、法人税や復興特別所得税、たばこ税を充てる方向で調整を進めている。24年度からの段階的な増税を目指す。
 自民、公明両党による国家安全保障戦略など3文書改定に向けたワーキングチーム(WT)の会合で12日、政府が予算確保策の大枠を示した。建設国債は道路や橋など長年にわたって使用でき、将来世代に恩恵が及ぶ事業が対象だ。財務省はこれまで自衛隊施設は「耐用年数が短い」として活用を認めておらず、防衛予算の大きな方針転換となる。
 1966年の国会で当時の福田赳夫蔵相は「防衛費は消耗的な性格を持つ。国債発行対象にすることは適当でない」と答弁した。ただ、海上保安庁の船などには建設国債が充てられており、自民党内で「自衛隊施設の防護強化なども賄うべきだ」との声が出ていた。
 政府・与党は23~27年度の防衛費総額を43兆円とする計画だ。自衛隊施設の強靱(きょうじん)化には約4兆円が必要と見積もっている。
 一方、増税による財源確保策を巡っては、復興特別所得税とたばこ税でそれぞれ2000億円程度、法人税で7000億~8000億円を想定する。自民党税制調査会は11、12の両日、非公式の幹部会合を開き、これらの方針を確認した。
 復興特別所得税は東日本大震災の復興予算に使うため、所得税額に2・1%分を上乗せしている。一部を防衛費に回すが、37年までの課税期間を延長し、震災から25年間で捻出予定だった約7・5兆円は確保する。
 法人税は、本来の税率は変えず、一定比率を特例措置として上乗せする「付加税」方式を採用する。中小企業に配慮し、年間の法人税額から一定額を引いた額に上乗せすることを検討している。1991年の湾岸戦争の際に時限的に導入した「法人臨時特別税」では、法人税額から300万円を引いた額に2・5%をかける方式をとっており、今回は300万円より引き上げることも視野に入れている。

12/13(火) 5:03
読売新聞オンライン

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