宗教界へ波及 懸念

 「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)問題を巡る与野党協議で、宗教法人の創価学会を支持母体に持つ公明党が難しい立場に立たされている。高額寄付などの被害の救済・防止への意欲を強調しつつ、過度な規制が宗教界全体の活動制限につながることを懸念しているためだ。

バランス

「政府・与党で歩調を合わせ、すり合わせながら取り組んでいきたい」

 公明の大口善徳政調会長代理は4日の与野党協議終了後、不当な寄付要求などを規制する新法制定への考えを問われ、そう語った。与野党協議について、公明幹部は「しっかり対応しなければ旧統一教会と一緒くたにされてしまう」として、積極的な取り組みが必要と説明する。

 ただ、新法の制度設計には、党内に慎重意見も根強い。宗教団体の主な収入源の一つである適切な寄付行為にまで萎縮(いしゅく)効果が働く恐れを懸念しているためだ。山口代表は1日の記者会見で、「宗教団体の運営は寄付によって支えられている。その基盤の確保と、行き過ぎた寄付(の防止)のバランスを取ることが大事だ」と述べた。

 宗教全体への世論の視線にも神経をとがらせる。10月28日に岸田首相に提出した党の被害救済・防止に関する提言では、「宗教一般に対する偏見や差別が助長されることはあってはならない」と注文。宗教法人法に基づく質問権行使についても、「基準を明確に整理した上で適正に行使すること」を求めた。

野党は批判

 与野党協議での公明の姿勢は、野党からやり玉に挙げられている。4日の与野党協議後、立憲民主党の長妻政調会長は「大口氏がすごく消極的だった」、日本維新の会の音喜多政調会長も「率直に(言って)後ろ向きだ」と公明を批判した。立民幹部は、「結果的に協議で旧統一教会問題に公明が消極的な印象をあぶり出せている」と語る。

 公明内では、最重視する来春の統一地方選に向けて、「このままでは厳しい戦いになる」との危機感も出ている。今後、政府・自民党と連携しながら、新法制定については丁寧に内容を詰めていく構えだ。

読売新聞
11/7(月) 7:01
https://news.yahoo.co.jp/articles/021d235e081db5064ddf80253456bcdf84d3d0ab