岸田文雄首相は18日の衆院予算委員会で宗教法人への解散命令請求が認められる法令違反の要件は「民法の不法行為は入らないとの解釈だ」と述べた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への対応を巡り認識を示した。

立憲民主党の長妻昭政調会長への答弁。宗教法人法は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」をした場合に裁判所が解散を命令できると規定している。

法令違反の解釈についてオウム真理教の解散時に「刑法等の実定法規の定める禁止規範または命令規範に違反」との判例がある。首相は「これを踏襲している」と説明し、「禁止規範または命令規範」に民法は含まないとの考えを示した。

首相は政府の相談窓口に寄せられた相談の中に「警察につないだ案件が含まれている。刑法をはじめとするさまざまな規範に抵触する可能性があると認識している」と説明した。

旧統一教会の被害者救済に向けた消費者契約の関連法令の提出時期を問われ「政府が考えている法律の見直しは準備ができたものから順次提出したい。今国会を念頭に準備を進めている」と語った。霊感商法の取り消し要件の拡大などを検討している。

永岡桂子文部科学相は閣議後の記者会見で「質問権」について「法に定めるプロセスを適正に踏みつつ、最大限速やかに対応する」と述べた。年内早期の調査開始をめざす考えを改めて示した。

宗教法人に組織運営の報告を求める質問権の規定が適用されるのは初めて。永岡氏は「恣意的に行使されないように考え方や基準を明確化することが必要」と説明した。所管する文化庁が25日に専門家会議を設け、基準などの検討を始める。

基準を設けた後、諮問機関の宗教法人審議会が基準に該当するかを検討する。永岡氏は「年内のできる限り早いうちに権限を行使できるよう手続きを進めていく」と述べた。

日本経済新聞
2022年10月18日 11:30
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