まさか、衆院予算委員会に合わせて「教団調査」を指示するんじゃないだろうな──。そう報じた日刊ゲンダイ(15日発行)の“予言”通りだ。岸田首相は17日午前の予算委で、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への調査をするよう文科相に対し指示したと答弁。調査を通じて法令違反の有無などを解明したい考えで、結果次第では解散命令請求もあり得るというが、「本気度」は極めて怪しい。

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 複数の新聞・テレビは16日、政府関係者の話として、政府が旧統一教会の調査を検討していることを報じた。予算委前日の一斉報道は意味深だ。

 17日に公表された消費者庁の有識者検討会の提言は「調査権限の行使」を求めた。消費者庁の公式の「検討会」の提言は重い。また、岸田政権の旧統一教会問題への対応に手厳しい世論に押された面もあるだろう。

 だが、表明のタイミングとして透けて見えるのは、国会審議での“答弁逃れ”の魂胆だ。

■相次ぐ野党の質問には「指示しました」繰り返しか

 予算委では野党から解散命令請求に関する質問が相次ぐことが想定される。そこで、先手を打って「調査指示」を表明。

「野党の質問に岸田首相は、『統一教会の調査を指示しました』と答弁し、追及をかわすつもりなのでしょう」(前参院議員でジャーナリストの有田芳生氏)

 新聞テレビに“情報リーク”してから表明するあたり、「調査」は“やってる感”が濃厚だ。そもそも、政府や自民党幹部は一貫して、統一教会の解散命令請求には否定的だ。14日には「十分慎重に判断すべきだ」とする答弁書を閣議決定したばかり。調査を担う永岡桂子文科相も同日の記者会見で「慎重に判断する必要がある」と、現状では難しいとの認識を示している。

 前出の有田氏が言う。

「宗教法人法の質問権を初めて適用というのも、岸田首相が“前向き”な印象を与えます。しかし、実態が明らかになり、解散命令請求まで踏み切るとは到底思えません。調査は教団の了解を得ながら行うようですが、教団はなかなか『承諾』せず、時間がかかる。また、教団は収益事業をしていない建前なので、調査には強制力もない。文化庁がどのような項目について調査するのかも不明です。岸田政権の“時間稼ぎ”に利用されるだけだと思います」

 政府が解散命令請求に慎重な理由として挙げる「信教の自由」や「判例」について、多くの法律家からは、旧統一教会に解散命令を請求しない理由にはならないと指摘されている。ぜひ、国会での徹底審議を見たいところだ。

「調査を指示しました」を繰り返す“答弁逃れ”は許されない。

日刊ゲンダイ
10/17(月) 12:30
https://news.yahoo.co.jp/articles/6bc5c585dc2a4cf9e2a5367ebe17b8f5e9fa461f