日銀が13日発表した9月の国内企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は前年同月比9.7%上昇し、過去最高の116.3となった。資源価格の高止まりや歴史的な円安が影響した。

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 企業物価指数から遅れて、消費者物価指数が上昇する。

「8月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比2.8%の上昇でしたが、来週21日に発表される予定の9月の上昇率は3%台に乗る可能性が高い。さらに、食品などの値上げが集中した10月は4%に近づく見通しです。日銀の黒田総裁は12日、G7会合出席のため訪問中の米国で、金融緩和継続を改めて示しました。物価高の一因である円安が止まる材料は見当たらず、財政出動で有効な物価対策を講じる必要があります」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)

 政府が今月中に取りまとめる総合経済対策の目玉は電気料金の高騰対策だ。岸田首相は「前例のない思い切った対策」と口にしている。自民党の茂木幹事長や萩生田政調会長が示す「電気料金の1割以上の支援」は年間2兆円近い額とみられているが、なぜか、消費者を直接支援するのではなく、約700社ある電力会社へ支給される見通し。

ガソリン補助金と電気代抑制、合わせれば消費税2%の財源

政府の支援は、ちゃんと国民に行き届くのか──。ガソリン価格の高騰を抑制するために石油元売り会社に出している補助金。財務省が実施した予算執行調査によると「小売価格は補助金全額分が抑制されている」と回答したガソリンスタンドは45%にとどまる。財務省は「ガソリンの販売価格に補助金の全額が反映されていない可能性がある」と結論づけている。ガソリン補助金は9月までで1兆9000億円に上る。

 電気代の支援について、岸田首相は「補助金ではない」と強調するが、電力会社に支給すれば、ガソリン補助金の二の舞いになるのは目に見えている

「ガソリン補助金は月額3000億円かかるとされ、現状の物価高では年末までの延長がさらに延びるでしょうから、春まで継続すれば3兆円近くになる。電気代抑制の2兆円と合わせれば約5兆円で、年間の消費税2%分に相当します。元売りや電力会社を介するのではなく、この財源で1年間、消費税を2%引き下げる方が、支援が必ず消費者に行き渡り、経済効果も大きい。岸田首相は再考し、消費税減税を総合経済対策に盛り込むべきです」(森岡英樹氏) 岸田首相は“愚策”に突き進むのか。

日刊ゲンダイ
10/15(土) 9:06
https://news.yahoo.co.jp/articles/d516bb3e1f7d6154f4dac70c1b75ae8748dab81a