[東京 12日 ロイター] - 岩屋毅元防衛相は12日都内で講演し、「財政を無視した防衛力の増強は国民の理解を得られない」と強調し、その点で岸田文雄首相はぶれていないと指摘した。自民党は防衛費の対GDP比をNATO(北大西洋条約機構)基準で2%以上に引き上げる方針を選挙公約に掲げているものの、岩屋氏は「NATOが2%だから日本も2%との雑なやり方はいけない」とけん制した。

岩屋氏は防衛費ついて「金額目標に向かってどんどん買い足すことは国民の理解を得ることはできない」と述べ、同時に日本が「武力の行使を努めて抑制することによって築いた内外の信用を毀損することがあってはならない」と強調。「ある日自衛隊が攻撃的な性格の組織になるのは避ける必要がある」とした。同氏は岸田首相にも近く、元防衛相として防衛政策に影響力を持つ。

NATOに関し「欧州側加盟国の多くは欧州連合(EU)に加盟しており、EUは単一通貨ユーロの信用を守るため累積債務は対GDP比60%など厳しい財政規律を課している」と指摘。これに対して日本は債務残高がGDPの250%の水準にあることを強調し、 岸田首相が「どのような防衛力をどのくらいの予算で、財源はどうするのか、三位一体で積み上げて結論を出すだろう」と述べた。

ロイター
2022年10月12日3:08 午後
https://jp.reuters.com/article/japan-defense-budget-idJPKBN2R70GI