岸田文雄首相の所信表明演説に対する国会の代表質問が終わった。

北朝鮮が4日に発射した弾道ミサイルは青森県上空を通過した。ロシアはウクライナ侵略を続け、中国は台湾への軍事的圧力を強めている。

安全保障環境が厳しさを増しているのは誰の目にも明らかで、平和を保つための防衛力の抜本的強化は急務である。   
  
だが、防衛力強化や憲法改正を前向きに説いたのは日本維新の会と自民党、国民民主党の一部議員だけだ。与野党の多くの質問者からは、国を守る責務を担っている緊張感が伝わってこない。国の根幹となる憲法の改正論議についても同様だ。極めて残念である。

抑止力向上には防衛費増額が欠かせない。それなのに立憲民主党の泉健太代表は「国民理解もないままに急激に予算を増額させることは、防衛政策をゆがめる可能性もある」と慎重だった。反撃能力保有にも後ろ向きである。

岸田首相の答弁も踏み込みが足りなかった。所信演説の内容の繰り返しが多く、国会や国民の理解を得ようとする熱意に欠けていた。反撃能力についても「あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速する」と語るにとどめた。国政のリーダー、自衛隊の最高指揮官として保有の是非を国会の場で語るべきだ。

https://www.sankei.com/article/20221008-5Q62K4UUKRKULLXOR5JSJW2G4A/