それならやはり、出席するべきではなかったのではないか。

 連合(日本労働組合総連合会)の芳野友子会長が6日の中央委員会で、9月27日の安倍晋三元首相の国葬に参列したことについて説明した。芳野氏は、各メディアの世論調査で反対の声が強かったにもかかわらず、岸田政権が国葬を強行開催したことについて、「法的根拠などの問題を抱え、国民の理解が広がらない中で行われる結果になったことを重く受け止めるべきだ」などと指摘。さらに「国会の関与をおろそかにし、閣議決定だけで進めようとし、議会制民主主義や立憲主義を軽視した。安倍政権以降の『1強政治のおごり』と言わざるを得ない」などと強く批判した。

 芳野氏の発言は極めて真っ当なのだが、問題は、自ら「議会制民主主義や立憲主義を軽視した」と切り捨てた国葬に参列したことだろう。芳野氏の国葬参列をめぐっては、組織内からも異論が相次ぎ、傘下の産業別労組「全国コミュニティ・ユニオン連合会」(全国ユニオン)が「反対声明」を出す異例の展開となったことは記憶に新しい。

 このため、この日の会見で国葬を強く批判した芳野氏に対しては、ネット上で怒りや呆れの声が広がった。

《この説明は国葬に出席する前にするべきだろう。後からは何とでも言える》

《だから組合員から出席するな、という声が上がったのではないか。反対の声を聞かずに出席しておきながら、今さら批判とは。何たるご都合主義か》

《国葬後も国民の多くが支持していない現実を前に軌道修正しただけ。まさに節操なし》

 芳野氏といえば、会長就任直後から、立憲民主党や国民民主党と日本共産党の野党共闘を激しく批判。麻生太郎副総裁ら自民党幹部とも会食したり、自民党本部で講演したりするなど、自民寄りの姿勢を鮮明にしてきたことから「自民党の別動隊」などと揶揄されてきた。

「今回の国葬には問題があるとの立場に立ちつつ、弔意を示す一点においての判断だった」

 中央委員会でこう理解を求めた芳野氏だったが、組合員との距離はますます離れるばかりだ。

日刊ゲンダイ
10/7(金) 9:06
https://news.yahoo.co.jp/articles/bdecc1850223ffbbccaa1507ee0d0b740847c569