臨時国会が3日、召集される。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題で逆風下の岸田文雄首相は、物価高対策などを盛り込んだ2022年度第2次補正予算案の成立に全力を挙げ、政権の立て直しを図りたい考え。野党は、教団側との関係を認めた細田博之衆院議長や山際大志郎経済再生担当相に照準を合わせ、追及を強める方針だ。

 7月の参院選後、与野党が初めて本格的な国会論戦に臨む。会期は12月10日までの69日間。首相の所信表明演説は10月3日、各党代表質問は5~7日に実施。立憲民主党の泉健太代表らが登壇する。

 ただ、この後の国会日程は固まっていない。本来なら3連休明けの11日から衆院予算委員会で首相と全閣僚が出席して基本的質疑に入るが、鈴木俊一財務相は米ワシントンで12、13両日に開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などへの出席を予定。17日以降に予算委がずれ込む可能性がある。
 政府関係者によると、首相官邸側が国会日程を考慮せず、鈴木氏の出張を決定。政権内に自民党の高木毅国対委員長の調整力を不安視する声も出ている。
 旧統一教会をめぐり、細田氏は9月29日に関連会合出席などを認めるコメントを発表したが、野党は「説明が不十分」と反発。再調査を余儀なくされた。内容次第で国会運営の火種となりそうだ。
 政府は10月末に総合経済対策を取りまとめる方針。補正提出は11月となる見通しだ。この時期は、首相が国際会議に出席するため日本を離れることも多く、審議日程は窮屈。自民党内からは早くも「会期延長含み」(関係者)との観測も漏れる。
 政府は計18法案を提出予定。新たな感染症危機に備える感染症法改正案、衆院小選挙区を「10増10減」する公職選挙法改正案などの成立を目指す。
 一方、野党側は対決姿勢を強める。立民は、日本維新の会、共産党とそれぞれ、国会内での「共闘」を確認。泉氏は9月30日の記者会見で「経済、子ども、統一教会の問題を特に重視して取り上げなければいけない」と強調した。
 当面のターゲットは、教団との関係をめぐり説明を二転三転させる山際氏。泉氏は既に「閣僚の資質がない」と辞任を求めた。国会で集中砲火を浴びるのが確実で、自民党内からも「瀬戸際大臣だ。更迭すべきだ」(中堅)との声が上がる。
 安倍晋三元首相の国葬の妥当性や経費も争点。岸田政権が目指す原発の再稼働や新増設、防衛費増額などをめぐっても、野党は厳しくただす構えだ。

時事通信
2022年10月02日08時04分
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