国葬で来日した各国首脳らとの弔問外交を終え、岸田文雄総理(65)が狙うは低支持率からの反転攻勢。が、今月からは“瀬戸際”の大臣とともに、針のむしろの「臨時国会」が始まる。

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 遺骨が葬儀場に到着したことを知らせたのは19発の弔砲だった。9月27日、日本武道館で行われた安倍晋三元総理の国葬。昭恵夫人は沈痛な面持ちで遺骨を抱き、遺影が飾られ、富士山をイメージしたという式壇へと歩んだ。それを悠然と先導したのが岸田総理だ。

 内閣支持率が発足以来最低となった岸田総理は国葬前後3日間で30カ国以上の首脳らと会談。安倍氏の後継者と喧伝するため、そのリーダーシップを内外にアピールするのに必死だった。

 官邸関係者が言う。

「実はこの夏、国葬後に解散があるのでは、という情報が永田町や霞が関をかけ巡っていました。国葬で支持率を上げて解散へという案は、官邸内でも取り沙汰され、国葬を進言した麻生太郎副総裁も前向きだったといいます」

集中砲火を浴びるのは誰? 

しかし、その後の統一教会問題で支持率は急落。解散するには、あまりに“火種”が多すぎるのが現状だ。

 政治部デスクによれば、

「官邸内の連携にも“乱れ”が見えますね。国葬直前にアメリカを訪問していた岸田総理は水際対策の緩和を表明しました。インバウンドを呼び込み、支持率をアップさせるもくろみでぶち上げたわけですが、実は遡ること約3週間、側近の木原誠二官房副長官がフジテレビ系の報道番組で同旨の発言をしていて、嶋田隆首相秘書官ら官邸官僚に“勇み足だ”と苦言を呈されていました」

 木原氏は放送後、周辺に陳謝。

「自身も統一教会との関係を週刊新潮に指摘され、焦りがあったのでは。失地回復を狙ってのことでしょう」(同)

 だが、次なる試練はすぐにやってくる。10月3日召集予定の臨時国会である。そこで集中砲火を浴びるとされているのが、山際大志郎経済再生相(54)だ。

 選挙支援などで教団とズブズブとされる山際氏。週刊新潮は私設秘書がその窓口になっていること、また、秘書が代表を務める会社に、政党支部が家賃として多額の資金を送金していることを報じてきた。

“ありゃ、持たないな”

自民党関係者は、

「とてもじゃないけど、山際さんは乗り切れない」

 と言って続ける。

「国対委員長を長く務めた森山裕選対委員長も“ありゃ、持たないな”とさじを投げる始末。次から次に統一教会との関係がマスコミによって露見し、山際さんが追認するという“情報の出方”が非常にまずい。野党に追及されれば、国会が止まるのは避けられません」

 相対する立憲民主党の安住淳国対委員長がまた厄介だという。

 政治ジャーナリストの青山和弘氏が、

「自民党にとってとにかくやりにくい相手です。安倍元首相も蛇蝎(だかつ)のごとく嫌っていました」

 と言えば、立憲関係者もこう指摘する。

「安住さんは“敵を欺くにはまず味方から”で、委員会で質問するテーマは立憲国対委の議員ですら直前まで知らされない。山際大臣を攻めるのは予算委員会と内閣委員会になりますが、自民党もどう対処していいかわからないのでは」

“統一教会ドミノ”

瀬戸際に追い込まれるその山際氏について、岸田総理はいまのところ「静観」の構えだ。

「山際さんは木で鼻をくくるような答弁をする癖があって心証が悪い。岸田さんは“説明はちゃんとしてほしい”と釘を刺しています」(青山氏)

 かねて更迭第1号ともささやかれているが、

「岸田さんは“辞任する必要はないだろう”とも話していますが、実際に統一教会問題で辞任すれば、他の閣僚や党幹部にも飛び火する可能性がある。そうした苦しい事情があるのです」(同)

 いわば、“統一教会ドミノ”。だが、大臣がこのまま居座るならば、国会が燎原の火のごとく炎上することは目に見えている。瀬戸際どころか、進むも地獄、引くも地獄なのである。

デイリー新潮
10/1(土) 5:57
https://news.yahoo.co.jp/articles/ca35c3c1b727155aa30ffb1ff9b087733dfe9007