核戦争が起きた場合、死者は50億人に上るとの研究結果が発表された。大気中の煤煙が日光を遮ることで農産物の生産が壊滅的なダメージを受け、世界的な飢饉による犠牲者は核兵器爆発による死者数をはるかに上回る恐れが大きいという。

  ラトガース大学の研究チームは起こり得る核戦争シナリオ6つについて、それぞれの影響を分析。米国とロシアの全面戦争という最悪のシナリオでは、人類の半数余りが死亡することになるとのリポートが、学術誌ネイチャー・フードに掲載された。

  研究では核兵器の爆発による旋風でどれだけの煤煙が大気中に吹き上がるかを計算。米大気研究センター(NCAR)がサポートする気象予想ツールを使って、国別の主要農産物の生産性を割り出した。

  ロシアがウクライナ侵攻を開始して以降、米ロ間の戦争の恐れは高まった。ロシアのラブロフ外相は4月、核戦争が起きる「深刻なリスク」を警告した。

  研究報告を共同執筆したラトガース大学のアラン・ロボック教授は「データがわれわれに伝えようとしているのは、核戦争を絶対に起こさせてはならないという一点だ」と述べた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-15/RGNYJRDWLU6801