日英両政府は航空自衛隊と英空軍の次期戦闘機について、双方の開発計画を統合し、共通機体を共同開発する方向で最終調整に入った。次期戦闘機に求める性能がほぼ一致していることに加え、開発費の抑制が図れると判断した。日本政府は完成品の海外輸出を念頭に、防衛装備移転3原則の運用指針の改定を本格検討する。

複数の政府関係者が明かした。2023年度予算の概算要求に開発に向けた関連費用を計上し、年内に開発の全体像を決定する。

日本は次期戦闘機について、F2戦闘機の退役が始まる30年代半ばに導入する方針だ。ステルス性能や高性能レーダー、センサーを備え、多数の無人機と連携して戦闘できる機体を目指している。米ロッキード・マーチンの支援を受ける方向だったが、調整が難航し、日英共同開発に切り替えた経緯がある。

 英国は主力戦闘機「ユーロファイター・タイフーン」の後継機「テンペスト」を35年までに実戦配備する方針で、イタリア、スウェーデンと共同開発する計画だった。

 その後の日英両政府の協議で、要求性能がほぼ共通し、開発時期も重なることから、機体の共通化が適当だとの認識で一致した。1兆円を大幅に超えるとされる開発費の削減や、生産効率向上も期待される。

共同開発には、イタリアも参画を検討している。ロッキードの関与は、米軍機との相互運用性の確保などに限定される見通しだ。
開発主体は三菱重工業と英国の航空・防衛大手「BAEシステムズ」となる方向だ。機体の設計やシステム開発全般を統括する。イタリアの航空・防衛大手「レオナルド」も加わる可能性がある。レーダーは、三菱電機とレオナルドの英国法人などが開発する見通しだ。エンジン開発は重工大手IHIと英ロールス・ロイスが担い、イタリア企業も参加を検討している。

 英国が独伊などと共同開発したユーロファイター・タイフーンは、サウジアラビアやオーストリアなどに輸出されている。日本政府内では、完成品を輸出する構想も浮上している。

一部抜粋
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220813-OYT1T50230/
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