自民党と統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との“癒着”に国民の厳しい視線が向けられている。特にズブズブとされる安倍派(清和政策研究会)は大揺れだ。

 中でも、現在の団体名への名称変更が文化庁から認められた時に文科相だった下村博文前政調会長は疑惑の渦中にある。メディアから説明を求められて「まったく関わっていない」と強調。「文化庁に聞いてほしい」と丸投げしたことで、ますます批判の火に油を注いでしまった。

 さすがにマズいと思ったのか、4日の派閥会合後に報道陣のぶら下がり取材に応じた下村氏は、「今となっては責任を感じる」と言い出した。派閥会合でも、名称変更の経緯が話題になったという。下村氏は「今回の問題で清和研の皆さんが迷惑や嫌な思いをされているのであれば申し訳ない」とも話していて、安倍派のイメージを悪くした“戦犯”の自覚はあるようだが、まず謝罪すべき相手は派閥の仲間ではなく国民だろう。

 もともと派内でも「人望がない」(中堅議員)と言われてきた下村氏は、会長代理として安倍派をまとめる立場。3日から4日まで派閥の若手・中堅と当選回数ごとにグループ懇談し、人事の希望などを聞いていたが、旧統一教会の問題が追い打ちとなり一気に求心力を失いつつある。

大ボスの森元首相も強烈ダメ出し

 発売中の「正論」9月号で、派閥OBの森喜朗元首相は安倍派の後継問題について、こう言及している。

<みんなの一致していることは下村博文だけは排除しようということ>

<彼はまだ自分が安倍さんの後継者のつもりで、安倍家に入って葬式を仕切っていたみたいで皆、困り抜いていた>
<安倍さんは優しいからつきあっていたけど、やっと下村はいかがなものかということがわかってきた。私は具体的にいろいろと知っているけど、ここは武士の情けで明かしません>

 安倍元首相を失った今、党内最大派閥を実質的に仕切るのは大ボスの森氏で、その意向は無視できない。下村氏は後継争いから早々に脱落ということだ。

 森氏は3日も、青木幹雄元参院議員会長とともに都内のホテルで岸田首相と会食。遠藤利明選対委員長と小渕優子組織運動本部長も同席した。9月の内閣改造・党役員人事について話し合ったとみられる。

「岸田総理が統一教会と関係が深い人を要職に起用すれば、秋の臨時国会で野党から厳しく追及され、内閣支持率にも影響が出る。安倍派からの入閣は、統一教会と縁の薄い人を厳選する必要がある」(自民党関係者)

 やはり安倍派は“下村排除”で一致するしかないのか。

日刊ゲンダイ
22/08/06 06:00
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