元首相の安倍晋三(享年67)が射殺された事件を契機として、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合。以下「統一教会」)と自民党との“蜜月”に再び関心が集まっている。少し古い報道になるが、衝撃的な新聞記事をご紹介しよう(敬称略)。

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 朝日新聞は1992年10月21日、「『金丸氏が圧力?』と質問状 統一教会・文鮮明教主の入国特別許可」の記事を朝刊に掲載した。

 統一教会の創始者・文鮮明[ムン・ソンミョン](1920~2012)は1984年、アメリカで所得税法違反により禁錮1年6カ月の有罪が確定し服役した。

 日本の入管法では、《日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者》は入国できないと定めている。

 ところが92年2月、自民党の一部議員が文鮮明の入国を法務省に打診。3月にビザの申請が行われると、法務大臣が特別に入国を許可した。

 文鮮明は3月26日に入国。31日には自民党の副総裁だった金丸信(1914~1996)と都内のホテルで会談した。

 この件に関して読売新聞の同年3月31日の記事では、《会談の内容は一切明らかにされていない》としながらも、《南北対話の見通しや日朝国交正常化交渉の成り行きなど》について話し合ったと伝えた。

 冒頭でご紹介した朝日新聞の記事は、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が文鮮明の入国に関して自民党などに公開質問状を送ったことを報じたものだ。

 全国弁連は1987年、統一教会による霊感商法の被害者救済と被害根絶を目指して結成された。

日韓の保守派人脈
 文鮮明の特別入国を求めて自民党議員が圧力をかけたことについて、全国弁連は《「法務省に対する働きかけは重大な干渉」》と批判。金丸氏の証人喚問など、国政調査権の発動を求めた。担当記者が言う。

「記事によると、法務省に文氏の入国を打診した自民党議員は5人。ところが、朝日の取材に全員が否定したそうです。一方、金丸氏は《「入国できないというので、私が便宜を図ってもらえるように法務省にかけあった」》と認めたと書かれています」

 そもそも“反共産主義”を掲げていた文鮮明は、韓国大統領だった朴正熙[パク・チョンヒ](1917~1979)と密接な関係を結んだ。ちなみに朴の長女が、2013年から17年まで韓国大統領を務めた朴槿恵[パク・クネ](70)だ。

 文は韓国の保守派を代表する人物の1人となり、そのため自民党の保守派とも気脈を結ぶようになった。

「統一教会と密接な関係を持った自民党の大物政治家として、岸信介(1896~1987)、福田赳夫(1905~1995)、安倍晋太郎(1924~1991)、そして安倍さんと、いずれも『清和政策研究会』でトップを務めた政治家が列挙されます」(同・記者)

 清和研は自民党の中でも特に保守的な政策を指向することで知られている。だが金丸は、旧田中派(経世会=現・平成研究会)の重鎮議員だった。

「朝日の報道からは、文氏は田中派の大物議員とも親交を持っていたことが分かります。つまり文氏は、自民党に“広範な人脈”を築いていたことが浮かび上がるのです」(同・記者)

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デイリー新潮
8/3(水) 11:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/621e1722622fde496c0abafce5872566e247351b