国葬の決定が招いた国民の分断
https://www.chunichi.co.jp/article/516818

2022年7月29日 07時06分 (7月30日 08時27分更新)

 銃撃で死去した安倍元総理の国葬をめぐり、世論が二分されている。新聞社などの世論調査では「どちらともいえない」といった中立的な選択肢が選ばれることも多いが、この問題に関しては「賛成」「反対」がはっきり分かれている印象だ。

 安倍氏の政権運営やその後の政治家としての言動にかかわらず、その最期については多くの人が衝撃を受け、あってはならないことと感じていたはずだ。

夫人を始め遺族にも同情が寄せられた。おそらく自民党葬もしくはより自主的な実行委員会が行う「偲ぶ会」であれば誰もが納得し、許されれば多くの人が参列しただろう。それは、奈良県の事件現場にはいまも弔意をあらわし、献花をする人の列が絶えないことを見てもよくわかる。

 ところが、「国葬」となったとたん、その葬儀は政治的議論の俎上に乗せられることになった。どうしても「安倍氏個人の死はいたましいが、安倍政権を全肯定するわけにはいかない」といった観点から語らないわけにはいかなくなる。しかも現在、旧統一教会と政治の関係に大きな注目が集まっており、その出口はまったく見えていない状態だ。

 世界を見わたせばウクライナの問題もいまだ着地点は見つからず、長期化に...


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