相澤冬樹【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記】

 誠実な公務員の心を蝕んだ公文書の改ざん。その激変ぶりを示す動画が法廷で上映される見通しとなった。6月29日開かれた大阪地裁での協議で固まった。

提訴から2年余り、一度も姿を見せたことがない佐川宣寿氏

 改ざんを苦に命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さん。その妻、赤木雅子さんは、改ざんを指示した元財務省理財局長、佐川宣寿氏を相手に起こしている裁判で、新たな証拠として3本の動画を提出した(本サイトで既報)。

 1本目は2010(平成22)年頃。俊夫さんが改ざん事件に巻き込まれる前で、元気だった頃の映像だ。大好きだった建築家の安藤忠雄氏が設計した広島県の尾道市立美術館で、特徴的なコンクリートの打ちっぱなしの壁をピタピタと触って感触を確かめている。

 雅子さんが動画を撮りながら「安藤さん、これでコンクリートよろしいですか?」と声をかけると、俊夫さんは安藤氏になりきって「ちょっとー、しゃーないなあ」と答えている。

亡くなる3日前に撮影された動画

 それが改ざんによって無残に変わったのが、2018(平成30)年3月4日の動画だ。

 俊夫さんは周囲がみんな自分に敵意を持っているという“妄想”に取りつかれ、しきりと“死”を口にする。この動画を雅子さんが撮影したのは、自宅での様子を主治医に見せるためだった。だが俊夫さんは撮影の3日後、自宅で命を絶つ。

 29日の協議では、まず次回の法廷で赤木雅子さん本人の尋問が行われることが決まった。雅子さんの気持ちを法廷で訴えるため弁護団が強く望んでいたことだ。45分間、弁護士の質問に答える形で思いを述べる。

 続いて動画の扱いが協議された。原告側は、雅子さんの尋問の際、法廷にモニター画面を設置して、裁判官からも傍聴席からも見える形で上映するよう要望。動画を見てもらいながら雅子さんに当時の状況を語ってもらうのが狙いだ。

 裁判長も前向きに考える意向を明らかにし、実現する見通しとなった。佐川氏が指示した改ざんによって、部下の職員がどのような状況に陥ったかを実際に見てもらおうという意図だ。

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日刊ゲンダイ
7/1(金) 9:06
https://news.yahoo.co.jp/articles/5662460e9071fc9098a96c3bff21f4ad1391d890
https://www.youtube.com/watch?v=ESnC-TvYU4E