22日、第26回参議院選挙が公示され、18日間の選挙戦がスタート。これまでとは与野党対決の構図が一変した。

 勝敗のカギを握るのは32ある改選数1の「1人区」だ。与野党で分け合う傾向が強い複数区と違い、全体の結果に大きく影響する。

2016年、19年の参院選では、すべての1人区で野党候補の一本化に成功。それぞれ11勝、10勝を挙げ、野党共闘は成果を上げた。しかし、今回は候補者の一本化が進まず、自民党候補VS野党候補という事実上の一騎打ちは11選挙区にとどまる。 

 野党乱立で政権批判票が分散すれば、与党を利するだけなのは誰の目にも明らかだ。今回、1人区で野党はいくつ勝てる見込みがあるのか。

「32の1人区すべてで候補を一本化すれば勝てるというものでもない。勝負になる選挙区は、ちゃんと一騎打ちの構図に持ち込んでいます。立憲の泉代表が公示日の第一声の場所に青森を選んだのも、勝てる可能性が高い1人区だからです。現時点で野党が優位な1人区は青森、岩手、山形、長野、沖縄の5選挙区。さらに宮城、福島、新潟、山梨、大分の5選挙区は大接戦で、与野党どちらが勝ってもおかしくありません」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)

つまり、野党は1人区で最大10勝が見込める。それなら前回、前々回と比べて遜色はない。これは余裕綽々の与党にとって誤算ではないか。

「岸田政権は支持率が下落傾向にある中で選挙戦に突入したのに対し、現場感覚では野党への支持が少しずつ戻ってきている。物価高の国民生活への影響は大きい。自民党は安全保障問題を争点にしたかったのでしょうが、有権者の関心は物価高に移っています。投開票まで18日間ある中で、一段と円安が進んだりガソリン価格が高騰し、テレビで物価高問題を頻繁に取り上げるようになれば、政権批判票はさらに増える可能性があります」(鈴木哲夫氏)

身内の“敵”も足を引っ張る

 そこに加えて、岸田首相は意外な“敵”にも悩まされているという。身内からの反旗である。

「安倍政権を支えた岩盤支持層は、今回の選挙で自民党が苦戦することを願っているフシがある。岸田総理が参院選に大勝して、国政選挙のない“黄金の3年間”を手に入れたら、安倍元総理や高市政調会長の出番がなくなってしまうからです。安倍さんの再々登板や高市総理の誕生を切望する彼らにしてみれば、自民が下野することはない以上、岸田さんが大負けして退陣、あるいはチョイ負けで求心力を失う展開が望ましい。極端に右寄りの層から見たら、岸田総理では物足りないのでしょうね」(自民党関係者)

 そのため、「岸田インフレ」「財務省の犬」といったネガティブキャンペーンが、自民支持層の一部からも発信されている。右派の離反を裏付けるように、産経新聞の最新世論調査によれば、参院選の比例投票先に自民を選んだのは、自民支持層の7割にとどまったという。

 勝敗を決めるのは、1人区と比例でどれだけ取れるかだ。

 改選124議席に神奈川選挙区の欠員1を合わせた計125議席のうち、「60議席は堅い」と自民党執行部はソロバンをはじいているというが、甘い見立て通りにいくかどうか。 

日刊ゲンダイ
22/06/23 14:00
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