岸田文雄首相は19日、円安抑制に向けて日本銀行の金融緩和政策を転換するべきだとの意見に対し、中小企業の金利負担への影響も考慮する必要があると述べ、「現状においては変えるべきではない」と語った。午前のフジテレビの番組で述べた。

  金融政策運営は「為替にも影響を与えるが、中小企業の金利等の負担にも影響を与える。こうしたことも考えなければならない」とし、景気全体の動向も考えた上で総合的に判断するべきものだとの見解を示した。その上で、「急速な円安によって物価に影響が出ている。ここが問題だ」とし、エネルギーや食料品に特化した物価対策をしっかり行うことが取るべき政策だと主張した。

  日銀は17日の金融政策決定会合で、現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の維持を賛成多数で決めた。海外の中央銀行がインフレ高進に対応するために金融引き締めに踏み出している中で、外国為替市場では24年ぶりとなる一時1ドル=135円台まで円安が進行。事前の市場では金融緩和政策の修正観測が広がっていた。

  岸田首相は19日午後には「令和国民会議」(令和臨調)の発足大会に参加し、財政の持続可能性について「国際社会やマーケットの信頼をつなぎ留めることができる財政政策を日本が維持できるかが大変重要なポイントになる」と指摘。今後も「財政健全化の旗はしっかり掲げ続けていかなければならない」と述べるとともに、「経済成長あっての財政再建という考え方も大事にしたい」と語った。

ブルームバーグ
2022年6月19日 9:04
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-06-19/RDP1Z9T1UM0W01