人工妊娠中絶を外科処置なしに行える「経口中絶薬」について、厚生労働省は17日の参院厚労委員会で、投薬や服薬にあたり配偶者の同意が必要との見解を明らかにした。同薬の使用目的が身体・精神の両面から女性の負担を軽減することとされる中、「(厚労省の)見解はリプロダクティブ・ヘルス&ライツに反している」との批判も聞かれ、今後論議を呼びそうだ。 

 社民党の福島瑞穂党首(比例代表、神奈川県連合代表)に橋本泰宏子ども家庭局長が答えた。同省の答弁などによると、2種類の経口中絶薬について昨年12月に英国の製薬会社から日本国内での使用を認めるよう申請があった。承認されれば国内初となるという。

 福島氏は「人工妊娠中絶の高額な手術費用や男性側の同意を得るとの条件が、望まない妊娠への対応を阻んでいる。新生児遺棄などの痛ましい事件を防ぐために経口避妊薬は有効だ」として早期承認を求めた。橋本局長は母体保護法を根拠に「服薬での中絶でも配偶者同意は必要だ」と答弁。「強制性交などによる妊娠については考慮し対応していく」と付言した。

 答弁に対し福島氏は「配偶者同意が必須なら(薬が)承認されても現状と変わらない。厚労省も推進を担うリプロダクティブ・ヘルス&ライツに反する」と批判。「女性の権利を守る視点から必要な対応をとってほしい」と母体保護法の改正などを求めた上で、「薬価も手術費と同じようなレベルにしないでほしい」とくぎを刺した。

神奈川新聞
5/17(火) 20:41
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