昨年6月、「50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。それはおかしい」と主張したとして、立憲民主党所属の衆議院議員(当時)、本多平直氏(57)が猛烈なバッシングを受け、離党と議員辞職に追い込まれた。

 だが、騒動から約1年経つのを機に、本多氏は手記を「文藝春秋」に寄稿。問題の「『14歳と性交』発言」が党内で捏造され、外部に流出したことなどを明らかにした。

 参院選を前に、立憲民主党の対応が問われる事態となりそうだ。

「14歳と性交」とは言っていない
 では実際の「発言」はどんな内容で、どういう状況で出たものだったのか?

「発言」があったとされるのは、立憲民主党の「性犯罪刑法改正に関するワーキングチーム」(寺田学座長。以下、WT)の5月10日の会議である。

 昨年4月以降、WTでは性交同意年齢の引き上げについて議論を続けていた。現在の刑法では「13歳未満」との性交は、同意や恋愛の有無などにかかわらず、5年以上の懲役が科される犯罪となる。この性交同意年齢を「16歳未満」に引き上げることがテーマだった。

 その時の模様を、本多氏はリアルに明かす。

〈5月10日のWTでは、大阪大学法学研究科・島岡まな教授に、オンラインでお話を伺った。会議室にいたのはWT座長の寺田学衆院議員、WT事務局長の女性衆院議員、私の議員3名。そして党政調職員、秘書、衆院職員数名である。オンライン参加は、議員1名と秘書等数名だった。

 WTで島岡教授は、「年齢差の大きな恋愛は絶対に存在し得ない」との趣旨の発言をされた。

 私は、フランスのマクロン大統領が15歳の時に25歳年上の現在の夫人と出会った例にとどまらず、年齢差の大きな恋愛の例を具体的に聞き及んでいたこともあり、当事者の心の問題である恋愛について、「絶対に存在し得ない」と断言されたことに違和感を持った。目の前に実在する人間が恋愛の存在を主張しても否定するのだろうか。そこで島岡教授に質問した。

「『絶対』という表現はどうなのか。例えば、50代の私が『14歳との恋愛が存在している』と言っても、存在し得ないと言えるのか」

 これに対して島岡教授は、一刀両断に答えた。

「あり得ません。先進国なら捕まります」

 これが「発言」の元となったやりとりである。〉

捏造された中間報告案が外部にそのまま流出

 本多氏がこう質問したのには、理由があった。

〈たとえば性交同意年齢を16歳未満に引き上げた場合、この4月から18歳成人であるから、18歳と15歳による恋愛に伴う性交でも、18歳が例外なく犯罪者となってしまう。私はここには「例外規定」が必要だと考えていたのだ。

 ただ低年齢の場合、恋愛だと思いこまされているだけで、あとで被害に気付くことも多い実態がある。「恋愛」を犯罪の言い訳にさせてはいけないとの指摘もあった。私はそうした意見も理解した上で、なんとか例外を検討できないのかと考えていたに過ぎない。〉

 ところが、WTから24日後の6月3日、本多氏はWTの中間報告案を読んで驚愕する。

「50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。それはおかしい」と本多氏が発言したことになっていたからである。

〈私は驚き、「こうした発言をした記憶はない」「音声データを確認させてほしい」「もしもこうした発言をしていたならば、誤解を招く表現なので撤回する。中間報告案から削除してほしい」と訴えた。

 しかし寺田座長は、「発言は事実なのでそのまま記載したい」と主張した。一方で他の議員からも「誤解を招く表現なので削除すべきだ」との声があがった。

 結局、この発言は翌6月4日のWTに提出された中間報告書案では、棒線で「見え消し」にされ削除された。だが、前日に一斉メールされていた文章がそのまま外部に漏洩し、ネットニュースとなったのだ。〉

続きはWebで

文春オンライン
5/10(火) 6:12
https://news.yahoo.co.jp/articles/29396a27f5a82517b91b35fcf4b73adb44d93eab