自民党の安倍元総理大臣がアメリカの核兵器を同盟国で共有して運用する政策をタブー視せずに議論すべきだという考えを示したことについて、岸防衛大臣は、非核三原則の堅持が政府の方針であり、日本の領土にアメリカの核兵器を置くことなどは認められないと強調しました。

ウクライナ情勢を踏まえた今後の安全保障政策をめぐり、自民党の安倍元総理大臣は、アメリカの核兵器を同盟国で共有して運用する政策について、日本でもタブー視せずに議論すべきだという考えを示しました。

これについて岸防衛大臣は1日、記者団に対し「政府としては政策上の方針として、非核三原則を堅持していく考えに変わりはない」と述べました。

そのうえで「平素から自国の領土にアメリカの核兵器を置き、有事には自国の戦闘機などに核兵器を搭載・運用可能な体制を保持する枠組みを想定しているのであれば、非核三原則を堅持していくことから認められるものではない」と述べました。

松野官房長官「非核三原則を堅持に変わりはない」
松野官房長官は、午後の記者会見で「多くの国々が経済分野を中心に、ロシアに対する制裁措置を導入しているが、その文脈でロシアが核抑止力部隊の態勢を引き上げたことは、情勢のさらなる不安定化につながりかねない危険な行動だ」と指摘しました。

そのうえで「核兵器は、いったん使用されると広範囲で多大な惨禍をもたらす。唯一の戦争被爆国であり、核兵器の非人道性を知るわが国として、核兵器が用いられることはあってはならないと考えており、強く訴えていきたい」と述べました。

また、ウクライナ情勢を踏まえた今後の安全保障政策をめぐり、与野党の一部から、アメリカの核兵器を同盟国で共有して運用する政策を議論すべきだという声が出ていることについて「政府としては政策上の方針として非核三原則を堅持していく考えに変わりはない」と強調しました。

林外相「認められない」
林外務大臣は、記者会見で「政府としては、政策上の方針として非核三原則を堅持していくという考えに変わりはない。例えば、有事に自国の戦闘機に核兵器を搭載し、運用可能な体制を保持することなど、自国などの防衛のためにアメリカの核抑止を共有する枠組みを想定しているということであれば、非核三原則を堅持していくということから認められない」と述べました。

自民 福田総務会長「議論 回避すべきでない」
自民党の福田総務会長は記者会見で「わが国が唯一の被爆国であることを踏まえたうえで、議論は回避すべきではなく、すべきだ。国民や国家を守るのであれば、どんな議論も避けてはいけない。国民の感情や、これから先の日本、それに世界の在り方を考えたうえで、しっかり枠をつくっていくのが政治の役割だ」と述べました。

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「政府が明確に非核三原則を堅持するという考えを私は支持するが、今後も未来永ごうやっていけるのか、議論する必要はあるのではないか。安倍元総理大臣も議論は必要だと問題提起したと受け止めている。国防上の問題は常に議論してベストな選択ができるように構えておくのは当然のことだ」と述べました。

立民 泉代表「何でも議論すればいい、は違う」
立憲民主党の泉代表は、記者団に対し「核兵器は使われるべきではなく、互いに持つべきではない。特に日本は被爆国であり、われわれが核を持ったり、持ち込ませたりするという態度ではいけない。何でも議論すればいいという話がよくあるが、それは違う。議論はすればいいという話にしてはいけない」と述べました。

NHKニュース
2022年3月1日 18時48分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220301/k10013506551000.html