島根県の丸山達也知事が15日、オンライン開催の全国知事会の新型コロナウイルス対策本部会合で、政府や他地域のコロナ対応に苦言を呈した。感染者数の伸びに検査数が追いつかず、正確な感染者数が把握できていないと指摘し、医療体制の逼迫(ひっぱく)など状況を見極めるには個々の死亡例などの検証が必要だと訴えた。

 一般的に、検査陽性率が高ければ、潜在的な感染者数が多いとされる。丸山知事は、世界保健機関(WHO)が感染状況を把握できているか判断の指針とする陽性率10%未満の3倍に当たる、30%以上となった地域が多数あるとのデータを示し「感染者数の正確な把握ができていない。感染者数でピークアウトを判断できる状況ではない」と述べた。

 その上で、介護施設で感染して中等症となり、その後容体が悪化するも搬送先が見つからずに父親が亡くなったとのツイッター投稿を取り上げ「こうした死亡例がないか各県が1週間分を検証すべきだ。そうした事例があれば(医療体制が逼迫しているため)緊急事態宣言を出すべきだ」と強調した。

 感染が拡大する大阪府への緊急事態宣言に慎重な姿勢を示す政府に対しては「法律上、一定の要件に達した場合、緊急事態宣言を出すのは義務だ。(政府の対応は)法律違反の疑いもある」と語気を強めた。

 島根県に適用され、20日に期限を迎えるまん延防止等重点措置の延長を政府に要請するかについては、会合後に「政府日程に合わせ直近まで状況を確認して判断する方針。まだ決めていない」と述べた。

 知事会の会合ではこのほか、オミクロン株の早期収束に向けた国への緊急提言案を公表。現在の保健・医療体制は多くの地域で危機的な状況に陥りつつあり、一部では深刻な医療逼迫を招いていると指摘し、基本的な感染対策の再徹底を促すよう求めた。

 知事会長の平井伸治鳥取県知事は「感染拡大の波が収まりつつあるとも言われるが、まだ終わりが見える状況ではない。オミクロン株はかなり手ごわい」との認識を示した。

2/16(水) 12:49
山陰中央新報
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