スリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が収容中の施設で病死した問題で、出入国在留管理庁は24日、亡くなる直前の様子が映った施設の監視カメラ映像を衆院法務委員会の議員らに初めて開示した。開示後、野党筆頭理事の階猛氏(立憲民主党)が記者団の取材に応じ、入管庁がまとめた調査報告書について「なるべく事実を矮小(わいしょう)化しようという意図が透けて見える」と述べた。

 映像は、ウィシュマさんが収容されていた名古屋入管の施設で3月6日に亡くなるまでの13日間分を約6時間半に編集したもの。階氏は、映像では無理やり口に押し込んでいるのに報告書には食事をしたとだけ記載されているなどとし、「報告書だけでは実態に迫れなかった」と指摘。「入管の権限と裁量を広げていいのかという思いを強めた」と語り、入管庁が来年の通常国会への再提出を目指す出入国管理法改正案について、「前の法案のままでは到底審議はできない」と釘を刺した。

 映像は今年の通常国会で野党が繰り返し開示を求めたが、政府は「保安上の観点」などを理由に応じていなかった。15日の与野党の合意を受けて開示された。

 この日はウィシュマさんの遺族側も、名古屋地裁で映像を視聴した。国家賠償請求訴訟の提起に向けて申し立てた証拠保全手続きで開示を受けた。

朝日新聞
2021/12/24 20:43
https://www.asahi.com/sp/articles/ASPDS6THKPDSUTIL041.html