学校法人森友学園(大阪市)の国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられ、自死した同省近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻・雅子さん(50)は16日、「真実にふたをして裁判から逃げた国の姿勢が許せない。ひきょうなやり方だ」と述べ、同省に抗議文を出すことを明らかにした。国を訴えた訴訟が15日に突如、終結したことを受けて取材に応じた。

 雅子さん側は訴訟で、改ざん指示の詳しい内容などを明らかにするよう求めてきた。だが、国が雅子さん側の損害賠償請求を認める「認諾」の手続きをとったため、訴訟は終結。国が、真相解明の機会を閉ざした形となった。雅子さんの弁護団は16日、弁護団会議を開き、雅子さんが同省へ出向き、直筆の抗議文を出すことを決めた。

 岸田文雄首相は同日の参院予算委員会で、雅子さん側が求めた、俊夫さんが改ざんの経緯を記した「赤木ファイル」などへの対応で「しっかりと丁寧に対応した」と説明。別の訴訟が続いていることにも触れ「引き続き丁寧に対応することを指示した」と述べた。

 立憲民主党の白真勲氏の質問に答えた。白氏が「全面的に非を認めたならば、真相究明に徹底的に応えるのが筋だ」と迫ったが、首相は「真摯(しんし)に説明を尽くしていく姿勢が大事だ」と繰り返した。

 雅子さんは、首相の発言について触れ「裁判で真摯に対応してほしかった。なぜ夫が亡くなったのか真実を知りたい」と訴えた。(米田優人、磯部佳孝)

朝日新聞
2021/12/16 21:00
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