19日に公示される衆議院選挙を前に、各党党首が日本記者クラブでの討論会に参加した。

 与野党の党首による討論会では、選択的夫婦別姓法案とLGBTなど性的少数者の「理解増進」法案の扱いをめぐり、岸田文雄首相(自民党総裁)が包囲網を敷かれたかのような場面があった。質問者からそれぞれの法案の来年の通常国会への提出に賛成する党首は挙手をするよう求められると、どちらについても与野党9人のうち岸田首相を除く8人が一斉に手を挙げた。

 首相は選択的夫婦別姓をめぐり「多くの国民の意識が進んでいるかを考えることが重要」と指摘。LGBT法案については「今、この段階で一律に時期を確定することは避けた」と説明した。

 与党を組む公明党の山口那津男代表は「公明党は早くから選択的夫婦別姓の案も出し、主張してきた。自民党には合意をつくって頂きたいと強く求めたい」と語った。

 一方、候補者の一定数を女性に割り当てるクオータ制の導入をめぐっては、首相は「環境整備や意識改革を進めずして、単なる目標、さらには法律のしばりをつくっても、現実、なかなか変わらない」と述べた。これに対し、立憲民主党の枝野幸男代表は衆院選と参院選の比例区の制度の改正を主張。「(比例名簿の)1位には女性が同順位で並ぶ、2位には男性が同順位で並ぶ、こういうやり方を認めてもらえれば、すぐに比例区は男女同数になる」と訴えた。

 質問の前には、党首間の討論で選択的夫婦別姓がテーマに上がる場面もあった。

 枝野氏は選択的夫婦別姓について岸田氏に質問。「法制審議会が進めるべきと答申を出して四半世紀。当事者はもう待っていられない。岸田さん自身が自民党内の推進議連の呼びかけ人だったはずなのに総裁になったとたんどこかに行ってしまった」と述べ、実現に向けた前向きな答えを求めた。

 岸田氏は「この問題は社会全体で受け入れる問題だ。私も地元で車座になって多くの皆さんとの意見交換をする中で、選択的夫婦別姓の問題を取り上げることもある」と説明。「そういった際に、多くのお母さんから、子どもたちはばらばらの姓を選ぶのか、誰が選ぶのか、後で変えられるのかと疑問の声が出ている」とし、「引き続き議論していくことは重要」と述べた。

朝日新聞
2021/10/18 16:17
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