もしかしたら、あのメダルも……。

 名古屋市の河村たかし市長(72)が、表敬訪問に訪れた東京五輪女子ソフトボール日本代表の後藤希友選手(20)の金メダルに突然、しゃぶりついた“噛み付き事件”で、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(64)は4日、同委員会を通じて新しい金メダルが後藤に届けられていたことを明かした。

最低でも5万4000円と試算されていた原材料費については、JOC側が負担したといい、河村市長の費用負担の申し出については、五輪憲章を理由に「政治的な寄付は受け入れられない」として断ったという。

「呪われた五輪」として最後の最後までケチがつく形となったが、まだ“呪い”は終わっていなかった。今度は東京五輪テコンドー女子金メダリスト(49キロ級)のパニパク・ウォンパタナキト選手(24・タイ)が、「メダルの表面が剥がれた」と訴えているからだ。

 タイは同五輪で「金」と「銅」を1個ずつ獲得したが、銅メダルの女子ボクシング選手も「(表面のメッキ部分が)剥がれた」と話しているという。

 駄菓子店で売っている「五輪チョコ」ではあるまいし、五輪メダルの「メッキが剥がれる」という前代未聞の訴えは驚くばかりだが、実は中国選手にも見られた。女子トランポリンで金メダルを獲得した朱雪瑩選手(23)が8月、中国版ツイッター上に金メッキ部分が一部剥がれたメダルの画像を掲載したのだ。

■造幣局は日本開催の五輪でメダルを製造

東京五輪で使用された約5000個のメダルを製造したのは、日本の紙幣などを印刷し、最新の技術力を持つ独法の造幣局だ。五輪メダルは過去にも、日本で開催された東京(1964年)、札幌(72年)、長野(98年)の3大会で製造を担当している。果たして各国で訴えが相次ぐ「五輪メダルのメッキ剥がれ」の原因は何か。造幣局の広報担当に聞いた。

 ――五輪メダルのメッキが剥がれたという苦情が出ていますが。

 詳しい話は東京五輪組織委に聞いてください。

 ――製造者として、考えられる原因は。

 現物を見ていないので分かりません。

 ――五輪組織委から調査などの話は。

 ありません。

――ということは、組織委が解散したら調べないと。

 そうですね。

 ――とはいえ、このままだと、日本の紙幣製造を手掛ける造幣局としての技術力を問われかねないのでは。調べる予定は。

 何だろうとは思いますが…。

 ――東京五輪のメダルには、使用済み携帯電話などの小型家電が再利用されました。そのことが原因では。

 ないと思います。製造方法については(メッキに使った)純度も何も変わっていませんから。

 ◇  ◇  ◇

 タイのパニパク選手は「とても悲しい。多くの選手が同じ問題に直面しているのではないか」と話しているようだが、“呪い”が終わるのはいつの日か。

日刊ゲンダイ
2021/10/06 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/295620