自民党の高市早苗前総務相(60)が、10日発売の雑誌「文芸春秋」9月号で、来月末に迫る菅義偉首相の自民党総裁任期満了に伴う総裁選に立候補する意向を表明する。高市氏は無派閥だが、安倍晋三前首相に近く、立候補に必要な「推薦人20人」を確保できるかが焦点となる。

 高市氏は同誌で、菅氏について「発する言葉からは自信も力強さも伝わらなくなってしまっている」と指摘。「自民党員や国民の信任を受ける機会がなかったからだ」と理由を挙げ、まずは党員が参加する形での総裁選の必要性を訴えた。

 前回総裁選で菅氏を支持したのは安倍前政権の政策踏襲を掲げていたからだとした上で、経済政策「アベノミクス」の柱の一つである財政出動の不十分さを指摘。インフレ率が2%に届くまでは、プライマリーバランス(国と地方の基礎的財政収支)の黒字化目標を「凍結」し、財政出動を優先すべきだとした。

 また、安全保障上の脅威などに対する「リスクの最小化」をめざすとし、コロナ下で経験した物資不足に備えた施策や、原発を含むエネルギー政策、中国への技術流出を防ぐための法整備や体制強化の必要性を訴えている。

 高市氏は、衆院奈良2区選出の当選8回。2006年の第1次安倍内閣で沖縄・北方相として初入閣。12年の第2次安倍内閣以降、自民党政調会長などを歴任した。16年の総務相時代、放送局が政治的な公平性を欠くと判断した場合、電波停止を命じる可能性に言及し、批判を浴びた。(山下龍一)

朝日新聞
2021/8/6 17:03
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