東京五輪・パラリンピックをめぐり、島根県の丸山達也知事は9日、大会の名誉総裁を務める天皇陛下が開会式に出席する方向で調整が進んでいることについて、「国論を二分している五輪で、天皇陛下に本当にお願いできる状況なのか。お願いできる立場なのかも含め、組織委員会と政府、東京都は再度検討すべきだ」と述べた。

 東京に4度目の緊急事態宣言が出されることが決まり、政府や組織委などは8日、1都3県の会場は無観客とすることを決めた。

 9日の定例記者会見で丸山知事は、五輪開催のあり方をめぐって世論が割れている現状を踏まえ、「天皇陛下は憲法で国民の統合の象徴だ。これだけ世論の議論になっている場に、お出ましいただくことをお願いしてよいのか」と指摘した。

 政府や都には感染拡大を防げなかった責任があるとして、「開会宣言をお願いできる立場なのか」と疑問を投げかけ、「陛下は政治的なご判断をされない立場。周りが考え、取り下げるべきことを考えなければ」と述べた。

 五輪憲章は五輪の開会宣言は開催国の元首が読み上げると規定する。1964年東京五輪、72年札幌冬季五輪では昭和天皇が、98年の長野冬季五輪では当時天皇だった上皇さまがそれぞれ開会を宣言している。(清水優志)

朝日新聞
2021/7/9 17:30
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