[東京 9日 ロイター] - 東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は8日夜、国際オリンピック委員会(IOC)や政府、東京都などと5者協議を開き、緊急事態宣言の再発出が決まった東京都の全会場を無観客にすることを決めた。さらに会場がある自治体とも協議し、埼玉・千葉・神奈川は無観客にすることとした。

<無観客のほうが「開催に理解得られる」>

会見した橋本聖子組織委会長は「チケット購入者には申し訳ない気持ちでいっぱいだが、感染拡大防止のためやむを得ない措置」とした上で、「無観客を決定したほうが、多くの人に開催を理解してもらえると考えた」と述べた。

福島県・宮城県・静岡県は、従来方針通り収容人員の50%以内・最大1万人とすることとし、茨城県については学校連携観戦プログラムの参加者のみに限定する。北海道は検討中とした。

政府はこの日、新型コロナウイルスの感染が再拡大する東京都に8月22日まで緊急事態宣言を出すことを決定した。

他のスポーツイベントが緊急事態宣言下でも観客を入れる中で、東京五輪はより厳しい対応を取ることとなった。会見に同席した組織委の武藤敏郎事務総長は「人流の大きさは他のスポーツイベントよりも大きい」と説明。「専門家の指摘も踏まえ決めた」と語った。

1都3県が無観客になることで、大会ボランティアや観客を輸送するバスなどは削減される。観客向けの医療体制の整備も不要になるという。

<IOC委員は入場可能>

一方、国際オリンピック委員会(IOC)の委員や国際競技連盟(IF)幹部、放映権者などの大会関係者は会場に入れる。武藤氏は、観客ではなく役割を持った人たちだとした。

観客が一段と減ることによるチケット収入や、運営の規模縮小による支出への影響については精査中だという。

5者協議後に会見した東京都の小池百合子知事は、都内の会場が無観客になることについて、人流を抑制するためとした上で、「断腸の思い」と語った。

8月に開幕するパラリンピックの観客数は、五輪閉会時の感染状況を踏まえて決める。

IOC、大会組織委員会、東京都、政府、国際パラリンピック委員会(IPC)は6月21日の5者協議で、首都圏などへのまん延防止措置が解除されることを前提に、観客上限を会場定員の50%以内・1万人とすることを決定していた。

ロイター
2021年7月8日8:39午後
https://jp.reuters.com/article/tokyo-olypincs-fiveway-talks-idJPKCN2EE17G