新型コロナウイルスの感染拡大「第4波」でひっ迫した大阪市保健所のトップがMBSの取材に応じ、患者の症状などを聞き取る職員の数が十分ではなかったと話しました。現在は保健師を増員するなどして体制を拡充したということです。

 大阪市保健所のトップ・吉田英樹所長は、第4波で急増する患者の数に対して『保健所の体制が十分ではなかった』と当時を振り返りました。

 (大阪市保健所 吉田英樹所長)
 「患者の数と(保健所の)体制の間でミスマッチがあって、一時的に厳しい時期があったのは否めないと思います」

 今年4月中旬〜5月にかけて、大阪府では毎日1000人以上の感染者が確認されました。このため保健所の対応が追いつかない事態に陥り、保健所が医療機関につなぐ前に患者が自宅で死亡してしまうケースもありました。当時保健所で疫学調査の責任者を務めていた主幹は、5月に次のように話しました。

 (大阪市保健所疫学調査等チーム 仲間いずみ主幹)
 「1週間以上(保健所から)ご連絡できていなかった現状があります。自宅療養の方で急変されるような方の話を聞きますと非常に心が痛みます」

 MBSが入手した資料によりますと、陽性者の病状を聞き取る疫学調査を担当する保健所の職員は第3波の時期(今年1月時点)には42人いましたが、その後、人事異動があり、4月中旬には31人に減っていました。これについて、5月13日に大阪市の松井一郎市長は次のように話しました。

 (大阪市 松井一郎市長 5月13日)
 「なんで不安をあおるようなことばっかり、何が面白いの?実際現場は51人体制で動いているんです」

 松井市長は、この31人以外にも他の部署などからの応援の職員が20人追加されていたため、体制は十分だったと述べました。

 これに対し吉田所長は、『確かに応援は来ていたが日によって入れ替わる職員もいたため、任せることができる仕事は限られていた』と話します。

 (大阪市保健所 吉田英樹所長)
 「応援とか派遣だけではできない、本来のスタッフがやる仕事があります。(クラスター調査など)継続的に何日間か続けて対応しないといけないこともございます。そうなると、ずっと毎日来られる職員とそうでない職員との間で役割分担を変えるようなこともございます。これまで通りでいいとは思っていませんので、より良い体制づくりにつなげたいと考えています」

 その後、6月7日までに保健師などの職員13人が新たに配置されて体制は拡充されましたが、松井市長は第5波に備え「同じことが起こらないよう、感染の急拡大時には人員体制を強化する」としています。

MBSニュース
6/29(火) 12:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/93d9a7f091fd31b760f57368cbf16b485c90f9ec