日本学術会議の会員候補6人の任命を菅義偉首相が拒否した問題で、この6人が請求していた拒否の理由や経緯がわかる文書について、政府は文書が存在しないなどの理由で開示しないことを決めた。開示請求をしていた6人のうち岡田正則・早稲田大教授が28日、明らかにした。

 岡田教授らは4月、菅首相が任命拒否の理由を明確に説明していないことから、行政機関個人情報保護法にもとづき、自身の任命拒否について内閣官房や内閣府が保有する全文書を開示するよう求めていた。政府は岡田教授らに対し、25日までに不開示決定を通知した。

 通知によると、学術会議を所管する内閣府は「公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある」として同法が定める不開示情報にあたるとし、文書などが存在するかを明らかにしなかった。任命拒否に関わったとされる杉田和博氏が副長官を務める内閣官房は、文書が「不存在」とした。

 岡田教授は不開示決定について、「(任命拒否に関して)情報や文書がやりとりされたことは確実であるにもかかわらず、『不存在』とした。事後的に文書などを廃棄した可能性もある。公文書管理としては極めて不適切だ」と話した。(鎌田悠)

朝日新聞
2021年6月28日 21時35分
https://www.asahi.com/articles/ASP6X6T8WP6XUTIL057.html