どこまでエスカレートするのか。二階vs安倍の暗闘が激しくなってきた。自民党の“1億5000万円問題”について、ついに二階幹事長が、当時、総裁だった安倍前首相の責任を口にした。

 2019年の参院選の時、自民党本部から公認候補だった河井案里元参院議員サイドに1億5000万円ものカネが渡っていたことについて、二階氏が24日の記者会見で「組織上の責任は総裁と幹事長にある」と明言したのだ。17日の会見では「その支出について、私は関与していない」と関わりを否定していたが、一転、軌道修正した格好だ。

 もともと、案里氏を選挙に担ぎ出したのは安倍前首相だっただけに、党内では当初から「1億5000万円は安倍案件」とみられていた。二階氏は「総裁と幹事長の責任」と認めることで、安倍前首相の責任をクローズアップさせようと狙った可能性が高い。

「組織上、幹事長が1億5000万円の支出を決裁したのは間違いないが、二階さんは“俺は関係ない”“支出を決めたのは安倍さんだ”と思っているようです。いずれにしろ、いきなり責任を突きつけられた安倍さんは、苦り切っているはず。説明責任を求められることになり、ますます表舞台への復権が難しくなってしまった」(自民党事情通)

 二階幹事長vs安倍前首相の対立は、安倍前首相が“二階降ろし”に動いたことがキッカケだと臆測されている。

「安倍さんは、菅首相に対して“二階幹事長を切れ”と迫っている、という見方が強まっています。実力者の二階幹事長を排除して、再び“安倍1強”体制をつくり、菅政権を裏から操るつもりなのだと思う。しらじらしく二度三度と“菅政権を支える”と表明しているのは、“二階を切るなら支える、切らないなら支えない”という菅首相に対する脅しでしょう。二階降ろしを察知した二階さんが、反撃に出ているのだと思う」(政界関係者)

 安倍前首相か二階氏か、踏み絵を迫られる菅首相も、頭を抱えているのではないか。

日刊ゲンダイ
2021/05/26 14:00
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