https://news.yahoo.co.jp/articles/724a32c2c14efd996aa4f43227748e30c089fc90
 米国のバイデン大統領と文在寅(ムン・ジェイン)大統領による最初の韓米首脳会談は、前のトランプ政権で始まった韓国のクアッド(米国、日本、オーストラリア、インドの4カ国による枠組み)参加問題を一段落させるきっかけになった。

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 ホワイトハウスのサキ報道官は20日(現地時間)の定例会見の際、「バイデン大統領は文大統領にクアッドへの参加を求めて圧力を加えるのか」との質問に「クアッド(『4の』という意味)には4カ国が加わっている」と回答した。その上でサキ報道官は「非常に数学的なものとなるわけではないが、すでにそのように(4カ国で)存在している」「クアッド加盟国の変化について予測や予想をしていることはない」と述べた。クアッド拡大問題が話し合われる可能性を事実上排除した形だ。今月18日にホワイトハウスのキャンベル・インド太平洋調整官もメディアの取材に「現時点でクアッドを拡大する計画はない」と明言した。

 これまで米国政府はクアッド拡大に関しては柔軟な態度を示してきた。昨年9月に当時のビーガン国務副長官が「(NATOのようにクアッドも)小さく始めて会員国を増やしていくこともあり得る」と発言した。バイデン政権発足後もこのような動きは続いた。ホワイトハウス国家安全保障会議のケーガン上級部長は今月7日「クアッドは4カ国だけが参加する閉鎖的な構造ではない」とコメントした。

 このような考えを示していた米国が韓米首脳会談を前に韓国の参加問題に一線を引いたのだ。米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ副所長はこの日、韓米同盟財団と在韓米軍戦友会が共同で主催したウェビナーで「バイデン政権は韓国を実際にクアッドの一員として招待したが、ソウル(文在寅政権)がこれを拒絶したようだ」と明らかにした。これが事実であれば、米国は「韓国は最後までクアッドには参加しない」と結論づけたとも考えられる。しかし韓国外交部(省に相当)の当局者は「事実ではない」「クアッド参加国の側からクアッドへの参加要請を受けたことはない」と主張している。

 クアッド参加国の間で拡大をめぐる意見が異なっている可能性も考えられる。日本の茂木敏充外務大臣はこの日「(クアッドという)枠そのものを拡大する議論は全くない」と発言した。しかし米国議会調査局(CRS)は昨年11月の報告書で「日本は韓国不在がクアッドの追加的な長所であると考えている」との見方を示し、「日本は韓国のクアッド参加を望んでいない」と予想していた。

 英国のフィナンシャル・タイムズ紙は「バイデン大統領は韓国に対し、中国に強硬路線を取るよう強く求めている」と指摘する一方「文在寅(大統領)は北京を怒らせる表現を警戒している」と報じた。ホワイトハウスは韓米共同声明で中国への懸念を強い言葉で表現したかったが、文大統領がこれをためらっているというのだ。同紙は「『韓国がクアッドと協力する』といった表現を含めることが期待されているが、韓国は中国を怒らせない言葉で適当に済ませることを望んでいる」と予想した。
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