大阪府池田市の冨田裕樹市長(44)が市役所に家庭用サウナを持ち込んだ問題を巡り、27日の臨時市議会に提案された冨田市長に対する不信任決議案は、当初の可決の見通しから一転、否決となった。コロナ禍の中で選挙が行われることを危惧する大阪維新の会と公明党などが反対したためだが、市民からは「辞めるべきだ」「仕方ない」など様々な声が上がった。

 27日午後7時前。不信任決議案が否決されると、議場では、傍聴席に詰めかけた市民の「池田が笑いものになる」などの声が響いた。

 不信任決議案が一転、否決されたのは、冨田市長が前日の26日の記者会見で「私が辞職すれば選挙になる。コロナ禍での選挙は避けるべきだ」と、決議案を出さないように議会側に訴えたのがきっかけだった。

 27日の討論では、可決を目指した議員が「市長としての資質に欠ける」などと述べたのに対し、公明党の市議が「選挙で人の流れをつくるべきではない」と強調。大阪維新の会の市議も「市長を擁護しているわけではない。コロナ対策に専念する時期だ」と訴えた。

 一方、この日の議会で、辞職の時期について問われた冨田市長は「政府は7月頃の高齢者へのワクチン接種の終了を目指しており、その頃を想定している」と述べた。

 傍聴席で審議を見守った池田市の女性(75)は「新型コロナウイルスの状況もあるので、否決は仕方ないが、辞めるのであれば、いつ辞めるのかはっきりさせてほしかった」と不満そうに話した。同市の主婦(75)は「議会でここまでまじめに議論してきたのに、(反対した市議は)なんで裏切るのか。冨田市長は、なぜ市長に居続けられるのか理解できない」と憤った。

読売新聞
4/28(水) 9:48
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