東京五輪・パラリンピック組織委員会が日本看護協会に大会の医療スタッフとして看護師500人の確保を依頼したことを受け、複数の現役看護師が27日までにスポーツ報知の取材に応じ、医療現場の過酷な現実を明かし、「五輪は中止にしてほしい」と口をそろえた。ワクチンの副反応の怖さなどについても率直に語った。

 組織委の突然の要請に、医療現場からは悲痛な声が上がっている。東京23区内の病院に勤務する看護師たちは、この報道を耳にし、現状を赤裸々に語った。

 「もともと、大前提として医師、看護師不足が大きな問題としてある中、さらにコロナで病床はひっ迫、経営は赤字の状態。非常に苦しい。これ以上、どこから500人も看護師を出す考えなのか分からない。病院ではコロナ対応に人員を割かれ、一般病棟も人手不足の中、懸命に働いている」

 医療スタッフは競技会場や選手村の感染症対策センターなどでの仕事が中心になると言われている。西日本にある病院勤務の看護師は苦しい胸中を語った。

 「感染者が少ない県から人員をかき集めれば500人は集まるでしょう。ただ、わざわざ感染しに行くような場所に行きたくないのが正直なところ。日頃、勤務先から『他県には行くな』と指示されているし…」

 当然、五輪開催について医療現場では「中止にしてほしい」という意見が大半を占めている。一方、国内でやっと始まったワクチン接種。既に2度の接種を済ませた看護師が実体験をもとに副反応の怖さを語った。

 「1回目は頭痛がひどかった。2回目は『インフルかな?』と思うほどつらく、38度以上の熱が出た。事前に聞いた情報以上に苦しんだ。日本はまだまだ、接種が進んでいない。正直、(3か月後ではまだ海外選手の)受け入れ態勢が整っていないと思う」

 仮に開催されたとしても五輪後の感染拡大に懸念の声が高まっているといい、現場では政府への不信感を募らせている。

 「選手が五輪に向けて頑張っている、この五輪が最後だという選手がいるのも分かっている。それよりも日本が、世界が大変なことになっている。ただでさえ、今は変異株で感染が急拡大している。五輪で別の、複数種類の変異株が広がり、五輪後は国内で(感染者が)さらに増えると思う」

スポーツ報知
4/28(水) 7:00
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