東京都の小池百合子知事は新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言について、期間を大型連休前後の4月29日〜5月9日とするよう政府・与党に求めた。延ばしても5月16日まで、という小池氏の姿勢に対し、与野党から「国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が訪日する前の宣言解除が念頭にあるのではないか」との臆測が広がっている。

 小池氏は4月20日、自民党の二階俊博幹事長と党本部で会談し、政府に宣言発令を要請する意向を伝えた。与党関係者によると、都は4月29日〜5月9日に短期集中的な対策を取りたい考えで、感染状況次第では宣言期間を5月16日まで延長する可能性も検討している。

 一方、五輪開催をめぐり、日本政府とIOCは5月17、18両日のバッハ氏訪日で調整中だ。バッハ氏は、17日に被爆地・広島市で聖火リレー関連式典に出席し、18日に都内で菅義偉首相、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長、小池氏らと会談することが想定されている。

 7月23日の五輪開幕を控え、バッハ氏の訪日は都にとっても世界に「確実な開催」をアピールする場となる。自民党関係者は「都としては、バッハ氏訪日までに宣言が終わるよう、何とか感染を抑え込みたいのだろう」と話す。

 これに対し、立憲民主党幹部は「バッハ氏が来るからと言って、それに合わせて宣言を解除すればとんでもないことになる」と指摘。「訪日時に都内で1日1000人、2000人の新規感染者が出れば、むしろオリンピックができる環境がなくなる」と強調する。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は20日、「セーフ・アンド・セキュア(安全で不安のない)なオリンピックをできればやりたいが、緊急事態宣言で経済社会活動を一気に止めようとする時に、聖火リレーがどんどん走っていることに多くの国民が違和感を感じている」と疑問視した。

 このため政府は、大阪府などへの宣言との整合性も含めて、都への発令期間を慎重に検討している。【宮原健太、古川宗】

毎日新聞
2021/4/21 17:11
https://mainichi.jp/articles/20210421/k00/00m/010/189000c