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 【北京=中川孝之、ソウル=建石剛】米国とインド太平洋の覇権を争う中国が、日米韓の連携にくさびを打ち込む手段として、韓国への働きかけを強めている。韓国は、安全保障で米国に依存しながらも、北朝鮮の非核化に向けては中国の影響力に頼らざるを得ないとの判断から、米中のはざまで苦悩を深めている。

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中韓外相会談 王氏「対話」強調

(写真:読売新聞)

 中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相は3日、中国福建省アモイで韓国の鄭義溶(チョンウィヨン)外相と会談した。韓国外交省の発表などによると、王氏は冒頭で「韓国と一緒に、対話による朝鮮半島問題の政治的な解決を推進したい」と述べた。対北朝鮮制裁強化などに反対する中国の主張に賛同を求めたとみられる。

 王氏は「中国は開放と包容を訴え、国際法に基づく国際秩序を維持したい」とも語った。これは中国がバイデン米政権による中国包囲網を批判する際の言い回しで、日米と対中けん制で歩調を合わせないよう、鄭氏に念押ししたものだ。

 習近平(シージンピン)政権は2017年に、文在寅(ムンジェイン)政権から、日米韓の協力を「軍事同盟に発展させない」との言質を取っている。中国は今再び、北朝鮮への影響力をテコに韓国を引き寄せ、日米韓3か国の連携に揺さぶりをかける姿勢を強めている。

 これに対し文政権は中国への「配慮」が目立つ。

 鄭氏は王氏との会談で「韓中は朝鮮半島の完全な非核化という共通の目標を持つ。韓国政府は中国が半島情勢の安定に積極的な役割を果たすことを要請する」と応じた。弾道ミサイルを新たに発射した北朝鮮に対し、中国が挑発の自制や対話への復帰を促すことを期待した発言だ。

 鄭氏の外国訪問は、2月の外相就任後、今回が初めてだ。しかも今回の会談は、米国で現地時間2日に開催された日米韓の高官会談の直後に行われた。

 3月にソウルで開かれた米韓の外務・防衛閣僚会合でも、共同声明で中国への言及が見送られた。鄭氏は3月末の記者会見で「米国も中国も重要な国だ」と述べ、米中の板挟みの苦しい立場をうかがわせた。


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