https://news.yahoo.co.jp/articles/201ac77f65af8909b3411f3d3465e7e10b279f75
文在寅が「最大危機」に追いつめられた

写真:現代ビジネス

 「やはり…」という声が聞こえて来そうだ。韓国国内で文在寅大統領に対する不信感の強まりと支持率の低下が止まらない。

【写真】日本人は知らない…いま韓国で本当に起きている「ヤバすぎる現実」

 先日、発表された文在寅大統領の支持率は35%と政権発足以来最低を記録した。加えて与党「共に民主党」の支持率も30%を割り込み、国民からの厳しい視線を突きつけられているような状態だ。これまでにも側近の不正疑惑など度々のピンチに直面しながらも得意のパフォーマンスで何とか切り抜けて来た文在寅大統領ではあるが、いよいよ最大の危機を迎えた。

 4月7日に行われるソウルと釜山の市長選挙に向けて、3月27日から選挙戦がスタートしている。ソウルと釜山という韓国を代表する2つの都市の市長選挙が同時に行われる背景には、前市長がともにセクハラスキャンダルにより逝去、失職するという前代未聞の事態があったためである。

 朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長、呉巨敦(オ・ゴドン)元釜山市長はいずれも文在寅大統領に忠実で親しい人物として「腹心」や「片腕」などと評されてきた。特に朴元市長は「慰安婦問題」について積極的な発言を繰り返し、ソウル市内を走行するバスの車内に少女像の人形を設置することに同意するなど、日本に対し強硬的な姿勢を貫いて来た人物である。

 一方の呉元市長も一昨年に日本政府が半導体の輸出規制を発表すると、文在寅大統領の「No Japan」に同調する形で、釜山市と関連がある日本の自治体との交流事業を中断もしくは見直しすると表明した。
大きな痛手

 しかし、朴元ソウル市長、呉元釜山市長に昨年、「セクハラ疑惑」が持ち上がった。最初に疑惑が持ち上がったのは呉元釜山市長で、女性公務員との対面の際に不適切な行為があったとのセクハラを指摘され、これを認め2020年4月に辞任した。

 また、朴元ソウル市長についても2020年7月に女性秘書からセクハラ被害を告発された。しかし、朴元ソウル市長についてはスキャンダル発覚後の7月9日の朝に自宅を出たまま行方をくらまし、夕方になり娘から警察への通報により大規模な捜索が行われた結果、翌7月10日の未明にソウルので心肺停止の状態で発見、最終的に死亡が確認された。現場の状況などから自殺との見方をされているものの、遺族の意向により詳細な死因については明らかにされていない。

 コロナ禍で危機管理対応に迫られる中で2大都市の市長が不在になるとはまさに異常事態であったが、相次いで腹心を失った上、朴元市長が死亡した時期は、これまた慰安婦問題で脚光を浴び、昨年4月の総選挙で政界に進出した「正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)」の尹美香(ユン・ミヒャン)氏の寄付や補助金をめぐる不正疑惑が騒がれていた時期とも重なり、文在寅大統領にとっては大きな痛手となった。

 その後も、現在に至るまで韓国土地住宅公社(LH)の職員らによる土地の不正投機疑惑にも見られるように文在寅大統領の「仲間」とも言うべき人物たちによる疑惑が常に絶え間なく巻き起こっている印象である。

 ソウルと釜山の市長選挙の結果は、今後の政権運営と来年の大統領選挙にも大きな影響を与えることにもなり、与党、野党にとってはどうしても勝利をおさめたいところである。

 現在までのところ各都市ともに野党「国民の力」の候補が与党「共に民主党」の候補をリードして勢いをつけているが、常に何が起こるか最後まで予測不可能なのが韓国の政治であり、選挙戦はまだまだ目が離せない。
次ページは:若年たちの「文在寅離れ」が止まらない!

(略)