カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐり、収賄と組織犯罪処罰法違反(証人等買収)罪に問われた衆院議員秋元司被告(49)らの初公判が29日、東京地裁で開かれる。これまで起訴された贈賄側や証人買収の協力者は全員有罪が確定したが、秋元被告側は起訴内容を全面的に否認し、無罪を主張する方針だ。
 秋元被告は、IR事業をめぐり中国企業「500ドットコム」などから利益供与を受けたとされる収賄事件と、保釈中に支援者らを介して贈賄側に偽証を持ち掛けたとされる証人買収事件で起訴された。賄賂とされたのは同社主催のシンポジウムでの「講演料」200万円や、衆院解散日に手渡された「陣中見舞い」300万円、マカオや北海道留寿都村への旅費負担など、総額約760万円相当に上る。
 秋元被告は保釈中の昨年2月に記者会見し、(1)衆院解散日に贈賄側と面会した記憶はない(2)200万円は正当な講演の対価(3)旅費などは秘書に支払いを指示した―などと説明。関係者によると、公判でもおおむね同様の主張をする方針で、証人買収については「虚偽証言でなく、真実を話してほしいと頼んだだけだ」として、全面無罪を主張するという。
 公判では、有罪が確定したドットコム社の日本人元顧問2人や、この2人に偽証を持ち掛けた支援者らが検察側証人として出廷し、事件への関与を改めて認める見通し。マカオ旅行に同行した白須賀貴樹衆院議員らの証人出廷も調整されており、無罪を求める秋元被告側がこうした関係者の証言をどこまで覆せるかが焦点となる。
 秋元被告は昨年2月に保釈されたが、証人買収事件の発覚で取り消され、東京拘置所での身柄拘束が続く。姿を見せるのは昨年8月の逮捕以来、約7カ月ぶり。関係者によると、関連書類を読み込むなどして公判の準備を進めているという。

時事通信
2021年03月28日07時11分
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