https://news.yahoo.co.jp/articles/b5a126a991e7d66397a5dc7fa57547d5a4cf4981
石破茂も呆れた「予算国会」

写真:現代ビジネス

 過去最大となる約106兆円を計上した令和3年度予算案が3月2日、衆議院を通過した。これで菅義偉政権にとって最初の関門だった「予算案の年度内成立」が決まった。憲法で規定された衆議院の優越による「30日ルール」のため、参議院で可決されなくても年度内で自然成立するからだ。

【写真】菅首相の“愚策”で、“数十兆円”という「国民の税金」がドブに捨てられる!

 当然ながら政府与党は当初より、自然成立の期限である3月2日までの衆議院可決を目指していた。まさに「筋書き通り」に難なく進んだ形だ。

 衆参両院で与党が圧倒的多数を有する状況下で野党が政権を追い詰めるのは容易ではない。ただ、それを差し引いても「国会論戦の花形」と称される予算委員会にもかかわらず、今年は例年以上に緊張感が乏しい論戦に終始した。

 実際、過去何年も予算委員会で委員を経験している閣僚経験者たちに意見を聞いても、同様の感想が多く返ってきた。菅政権発足直後には菅首相の不安定な答弁ぶりから与党内からも「あの答弁では通常国会の予算委員会は乗り切れないのでは」と不安視されていたことを考えるとあまりにも淡白だった印象は拭えない。

 ここ数年、予算委員として質疑を見てきた自民党の石破茂元幹事長も「今年の予算委員会は緊張感が全くないね」と半ば呆れた様子で語る。

 「自民党が野党の時(2010〜2012年)は各分野の部会長がそれぞれの大臣と直接真剣勝負をした。そして、質疑後にはみんなで反省会をして、『この質問は意味がなかった』とか厳しく意見しあったものだ。一方、今の野党は場当たり的に質問しているだけだね」(石破氏)
追及よりも選挙を優先…

野党は何をやっていたのか… photo/gettyimages

 この間、政府を追及するネタは少なくなかった。小池都知事に押される形で緊急事態宣言を発令するなど、新型コロナ対策はお世辞にも満足なものではなかった。その上、夜間の銀座クラブ通いなどの失態で自民党議員が4人離党、公明党議員1人が議員辞職。

 さらに、「週刊文春」による菅首相の長男と総務省幹部との会食問題、吉川貴盛元農水大臣の汚職に絡んだ農水省幹部とアキタフーズの会食問題と問題は相次いだ。

 しかし、昨年末にかけて低下が続いていた内閣支持率は下げ止まる一方、立憲民主党の支持率が上がることはなかった。「追及が下手」(石破氏)だったのは言うまでもないが、そもそも本気で政権を追い詰めようとしていたのかも疑わしいと言わざるを得ない。

 通常国会が始まってからの予算委員会は「令和2年度第三次補正予算案」と「令和3年度予算案」の二つを審議した。

 その間に一番多く質疑に立ったのは今井雅人議員と後藤祐一議員の各4回で、総質疑時間は今井氏が174分、後藤氏は157分だ。

 これを「モリカケ問題」の追及で盛り上がった2017年同時期の予算委員会と比較してみる。当時の野党第一党である民進党で一番多く立ったのは後藤祐一議員と玉木雄一郎議員で各7回。時間も後藤氏が291分で玉木氏は276分と倍近く多い。
次ページは:「質疑時間」が示す現実

(略)