武田良太総務相はNTTによる接待問題で、事務方ナンバー2である谷脇康彦総務審議官を更迭した。菅義偉首相の長男が勤める放送事業会社「東北新社」による接待問題をはじめ、政権は週刊誌報道を受けて調査、処分をする「小出し」対応を繰り返しており、傷口は広がり続けている。

調査中途半端 新たな問題次々

 「中途半端な調査によって、また『虚偽』と指摘を受けるような事案が発生することは極力避けていかなくてはならない。確かな事実関係を積み上げ、可能な限りスピーディーに行うよう、今後とも指示を出したい」。武田氏は8日、今後の調査について、事実確認を徹底する考えを示した。

 武田氏が自ら「中途半端」と吐露したように、この間の接待問題に関する調査では、後手後手の対応を続けている。最大の要因は、週刊誌報道を受けて調査しても、限定的な対応にとどめて踏み込んだ調査はせず、結果公表後に新たな問題が発覚するのを繰り返してきたためだ。

 接待を受けた総務省幹部の国会などでの不正確な説明も問題を拡大させた。東北新社による接待問題が発覚した2月上旬の時点では、秋本芳徳情報流通行政局長(当時)は「衛星放送の話が出たかどうかの記憶はない」などとしていたが、その後に文春オンラインで会食時の音声が公開され、一部を認めざるを得なくなった。

 総務省は秋本氏らを官房付に更迭した上で、2月22日に東北新社関係者と会食した職員は計13人で、延べ39回に上るとの調査結果を発表。同24日には11人を減給や戒告などの処分とした。3月1日には同社から接待を受けていた山田真貴子前内閣広報官が体調不良を理由に辞職し、一連の問題は収束に向かうかに見えた。

 同じ1日の衆院予算委員会で、谷脇氏はNHKや通信会社社長から接待を受けたことがあるか問われると「(国家)公務員倫理法に違反する接待を受けたことはない。立食パーティーや勉強会でご一緒するケースはあった」と述べた。しかし、4日発売の週刊文春でNTTによる接待が発覚。5日の参院予算委では「例示として勉強会などを挙げた。個別の会食がなかったと答弁したことはない」と苦しい言い訳に終始した。

 相次ぐ新たな問題発覚に、自民党幹部からも「『小出し』にし過ぎている。きちんと調べないといけない」との声が漏れる。

毎日新聞
2021/3/8 20:52
https://mainichi.jp/articles/20210308/k00/00m/010/260000c