2019年の参院選広島選挙区で河井案里氏が当選したことにより、自民党は約6534万円の政党交付金を受け取っている計算になることが分かった。5日の参院予算委員会で、共産党の井上哲士氏の質問に対して総務省が明らかにした。案里氏はこの参院選をめぐる公職選挙法違反(買収)で有罪判決が確定し当選無効となったが、菅義偉首相は「仕組みがない」として返還する考えがないことを明らかにした。

 総務省によると、政党助成金は毎年1月1日時点や国政選挙後に、所属する国会議員数などから算出している。案里氏の当選後である19年8月から20年12月までに自民党に交付された金額を議員1人あたりで割ったところ、約6534万円になったという。

 武田良太総務相は、政党交付金制度について「民主主義の発展に重要な意義を持つ」と答弁。井上氏は「民主主義破壊の買収行為によって当選が無効になった河井氏の分まで交付を受けることが、民主主義の発展に重要なことになるのか」とし、首相に自主的に返還するよう迫った。

 しかし首相は「政党交付金については、国会議員が当選無効となった場合に制度上、返還する仕組みはない」として返還には応じない考えを示した。

朝日新聞
2021年3月5日 16時16分
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