【ワシントン=河浪武史】イエレン米財務長官は12日、オンライン形式で開いた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、新型コロナウイルス危機からの脱却へ「今こそ大胆な財政出動に踏み切るときだ」などと主張した。バイデン米政権は1.9兆ドル(約200兆円)の追加対策を検討する。日欧は景気回復がもたついており、各国にも協調的な追加策を促した。

米連邦準備理事会(FRB)前議長のイエレン氏は中銀トップとして繰り返しG7会議に出席してきたが、今回は財務長官としては初めて参加した。日欧は新型コロナで再び経済活動の制限を余儀なくされ、景気に停滞感がある。イエレン氏は米国が大型の追加財政出動に踏み切る考えを強調し、各国にも「G7として、現時点でできうる追加的な経済支援策に注力すべきだ」などと訴えた。

トランプ前政権下では、ムニューシン前財務長官がG7会議で保護貿易主義を訴えるなど「米国第一」を前面に押し出した。イエレン氏は「国際的な連携を深めることが米国の高い優先事項だ」と述べ、新政権の国際協調路線を強調した。トランプ体制が消極的だった気候変動対策にも「米国に決定的な役割があることは理解している」と述べ、G7としての協力体制を各国に確約した。

G7会議ではデジタルサービスへの国際的な課税ルールづくりも議題となった。トランプ前政権は「米企業を狙い撃ちにした制度だ」などと反発して国際議論からの離脱を表明したが、イエレン氏は主要国協議に復帰する考えを各国に伝達している。

日本経済新聞 2021年2月13日 2:42
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