美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らによる愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動で、署名簿に名前を勝手に書かれたとして、同県弥富市議5人が3日、私文書偽造・同行使と地方自治法違反の疑いで、容疑者不詳の告訴状を名古屋地検に郵送で提出した。

 5人は大原功議長と鈴木みどり、高橋八重典、佐藤高清、加藤克之の各議員。
 告訴状によると、何者かが昨年10月ごろ、署名者の欄に5人の住所と名前、生年月日を勝手に書き、11月に市選管に提出。鈴木議員については、署名を集める受任者の欄にも住所と名前、生年月日、性別が勝手に書かれていた。

◆本人とは異なる筆跡、他の県議や市長らからも声
 名古屋市内で3日に会見した大原議長は「事実関係を明らかにしてほしい」と述べた。5人は、民主主義の崩壊を招きかねない重大犯罪だとして、地検に早急な署名簿の差し押さえと厳重な処分を求めている。
記者会見する愛知県弥富市の大原功市議=3日、名古屋市で
記者会見する愛知県弥富市の大原功市議=3日、名古屋市で

 不正な署名が多数含まれている疑いがあるとの報道などを受け、大原議長ら自民系会派の8人が1月4日、市に関連情報の開示を請求。6、7日に開示され、5人の名前が使われていることが分かった。
 住所や生年月日を含め署名欄に書かれた内容は正しかったが、本人とは異なる筆跡だった。
 県選管は1日、提出された署名の83.2%が無効とする調査結果を発表。弥富市分は、3618筆のうち3340筆(92.3%)が無効だった。
 これまでに弥富市議のほか複数の県議や碧南市議、田原市長らが署名に名前を勝手に使われたと本紙の取材に明らかにしている。

東京新聞
2021年2月4日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/83902