https://news.yahoo.co.jp/articles/bebe2fb6635014161f71c56be771d74420668592
 「日本のクルーズ船よりひどいことが、療養施設では起きています。閉じ込められ、死にゆく療養施設の患者らを救出してください」

■「新型コロナに対する不安」韓国が世界14カ国で1位、日本は?

 ソウル市九老区のミソドゥル療養病院は、コロナ患者が発生した今月15日からコホート(外部出入遮断)隔離されている。看護師、医師、施設職員などおよそ50人が2週間、自分たちの寝食を院内で解決しつつ重患者らの面倒を見ている。自分たちもいつ感染するか分からない状況だ。

 同病院のチェ・ヒチャン神経課長は27日、青瓦台(韓国大統領府)の請願掲示板に切迫した訴えを書き込んだ。「日本の遊覧船は日本政府の判断の誤りでコホート隔離され、712人が感染して13人が死亡した。これは世界から非難されたが、これよりひどいことが韓国で起きている」と記した。同病院の入院患者340人のうち、半数を超える175人がコロナにかかった。このうち46人はこれまで病床の配分すら受けられず、そのまま隔離している。療養施設にいるのは、基礎疾患を持つ重患者が大部分だ。病床で死ぬ日だけを待ちながら放置されている、というのだ。

 チェ課長は29日、「施設が隔離措置されると、およそ100人ほどいた看病士(ヘルパー)らが、感染を恐れてみんな病院を去った。おむつの交換、食事などあらゆる患者の世話を看護師と医師がやっている状況」とつづった。感染判定を受けた看護師だけでも9人に達するなど、「医療陣の疲労は極限に達している」とした。にもかかわらず、これまで韓国政府や自治体の支援は全くなかったという。自分で生き残れというわけだ。

 陰性と判定されて施設に残っている患者も80人ほどいる。チェ課長は「国民請願の文をアップしたので、きのう保健所が施設内の確定患者を10人ほど、よその病院に移送してくれた」とし、「医療人員の支援も約束したが、まだ特に知らせは聞いていない」と語った。この施設に事実上閉じ込められている46人の確定患者が、ほかの陰性の人まで感染させ、「追加感染が発生し続けている」とした。

 チェ課長は「韓国政府は『それでも君らは病院なんだからどうにかしてがんばれ。急を要する患者は引き取ってやる』というようなことを言う」としつつ、「感染症を治療する力がない、ほかの一般病院より医療施設も到底足りない療養施設に、政府がこんなことを言えるのか」と訴えた。
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